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部落問題資料室
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主張

 

2013年を勝利の年にしよう

「解放新聞」(2013.01.14-2602)

 2013年を、部落解放運動をさらに大きく飛躍させる年にしよう。
  昨年末の総選挙の結果は、まことに残念なこととなった。民主党を中心とした候補者は軒並み落選。しかも大切な解放の議席、松本龍顧問もそのなかの1人としてしまった。痛恨の極みである。
  しかしこうしたときこそ、私たちは嘆くのではなく、推薦した候補者などと心をかよわせながら、人権確立へのさまざまな論議を日常的におこない、ともに人権・平和・環境・民主主義を創造していくことを確認していくことも重要になってくる。そして、多くの心をかよわせる人びとと、共通の課題達成に向けて協働の関係を強化していくことも重要である。
  したたかな反転のときを、日常的な活動を重ねることでつくっていこう。
  私たちは、運動の原点、「水平社創立時の宣言」がいう「人の世に熱あれ、人間に光あれ」、結成時の綱領がいうところの「人間性の原理に覚醒し人類最高の完成に向つて突進す」に戻ろう。つまり、私たちだけの解放ではなく、人間の解放をめざし、その最高の完成をめざす営みこそ、部落解放運動の目標なのだ。諸先輩が歩んできた荊の道へ、私たちも決意を新たに続いていこう。
  そして、人権・平和・環境・民主主義を基軸とした連帯・共闘の輪を国内外で大きくきずきあげよう。

 年末に発足した安倍政権は、不況下でインフレ政策をとり、夏の参議院までは経済対策に力を入れるとしている。参議院戦で勝利し、その後は過半数の力を背景に、一気に本来の主張―憲法を改悪し、新たな、といっても天皇制を軸にした復古調のものだが、統合軸を通じ、国民をあらたにつくり変えることを実現するために、しゃにむに走り続けようとする。
  こんなイメージが出てくるのが、安倍総理とその取り巻きの側近だ。
  たとえば、具体的には、「領土問題」をもち出し、偏狭なナショナリズムを煽る。同時に、15年戦争は朝鮮、中国をはじめとするアジアへの侵略戦争だったと主張する者には自虐史観と攻撃を加え、あったことをなかったこととする。そして、日本人としての伝統や誇りなるものの復古を強調する。
  こうした主張は、差別や排外主義とセットであらわれる。被差別者が声をあげないときは同情や融和的態度をもちながら、声をあげ出すと、差別はないと強調し、被差別者の特権なるものをでっちあげ、それを正し平等を求めるとしたキャンペーンをさまざまなメディアを駆使してくり広げ、現実には差別・排外主義を煽り続ける。
  あるいは、復古調の主張を実現するためには、人権や平和を主張する運動は邪魔者だから排除・弾圧する、という道筋も見えてくる。

 私たちにとっては、今年は大きな正念場のときをむかえる。それは、狭山再審闘争だ。
  事件発生から50年。半世紀のあいだ無実を訴える石川さんの歩み、強いられた無念の歩みは、私たちの運動の軌跡とも重なる。証拠開示―事実調べの世論を大きくし、今年こそ再審開始決定をかちとろう。
  また、差別や虐待など、格差社会のなかで人権侵害に泣く多くの人びとを救済するための法制度の一環としての「人権侵害救済法」を求める闘いも、所与の条件の下で再スタートさせることが重要になる。
  部落差別撤廃の要諦であるといっても過言でない、教育と雇用(仕事保障)のとりくみをすすめるためにも、「人権教育・啓発推進法」を活用しよう。また差別糾弾闘争を断固として闘いぬこう。
  周辺地域住民と連携した人権のまちづくりや世話役活動などを通じ、部落内外でさらに活動を強化していこう。
  これらの諸課題は、部落解放同盟の組織の強化なくしては実現できない。部落民の悩み、苦しみ、要望をしっかりと把握し、それを要求にまで高め、組織を強化することで闘いぬき、実現していくことが大切である。
  厳しい客観情勢ではあるが、「冬来たりなば春遠からじ」の決意を胸に刻み、反転し、攻勢を作り出すときは、いまだ。
  「一致団結、部落完全解放に向け、2013年を勝利の年にしていこう。


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