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脱原発と反核・平和・人権・民主主義のとりくみ強め、力強い共同闘争をつくろう

「解放新聞」(2013.08.12-2630)

 福島原発事故から2年余りが経過した。しかし、いまだに事故は収束したといえない現状だ。とくに4号機の燃料プールは、大地震による倒壊の危険性があり、これまで以上に大量の放射能を放出し大惨事になりかねない。1号機から3号機のメルトダウンした核燃料も、冷即し続けているものの手がつけられないままだ。廃炉にも大きな困難がつきまとう。事故の全容解明も原発建屋内部の調査ができず、道半ばである。いまでも汚染水は増え続け、除染問題、補償問題などさまざまな問題が前にすすんでおらず、山積している。そのなかで、15万人におよぶ福島県民がいまだ避難生活を余儀なくされている。住民の被曝の実態調査や健康問題への対応も遅れており、原発にかかわる労働者の被曝も拡大し深刻化している。
  このような深刻な現状がありながら、安倍政権は、民主党政権が国民的意見を反映させ決定した「2030年代原発稼働ゼロ」の脱原発政策をくつがえし、原発を存続させる方向で見直すと表明した。そして、事故原因も明確にならないのに「日本の原発は安全」と主張し、地震が多いトルコをはじめ、首相みずから先頭に立って原発施設を海外に売り込みはじめた。安倍政権は、福島原発事故から何も学ぼうとしていないし、事故の収束や被災住民の生活は二の次にされているといわざるを得ない。こうした安倍政権の姿勢を許してはならない。

 9月には現在稼働中の大飯原発の定期点検による停止にともない、再び原発稼働「ゼロ」の状況が生まれる。
  原子力規制庁は、7月8日に新規制基準を施行したが、さっそく電力各社が再稼働を申請しており、また原発の再稼働が焦点となる。
  原発は、ひとたび事故を起こせば取り返しのつかない事能をまねくことが、事実をもって明らかにされた。核燃料廃棄物などの処分方法さえ確立されていない「トイレなきマンション」の状況も続いており、核廃棄物を増やし続けることも、きわめて無責任といわなければならない。
  原子力発電の過程で生み出されるプルトニウムは猛毒であると同時に、核兵器の材料ともなる。現在、日本には約44トン(長崎型原爆5500発分)もたまっており、核兵器開発と結びつくことから諸外国からも危険視されている。
  日本には核武装を主張する保守政治家もおり、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す「核燃料再処理技術は潜在的な核抑止力」と主張する政治家もいる。安倍政権は「核燃料サイクル計画を維持する」と表明しているが、その背景には、核兵器製造能力を維持したいという考え方が透けて見える。

 広島の平和記念公園にある原爆死没者慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という誓いの言葉が刻まれている。私たちは、この誓いの原点を思いおこし、広く伝えていかなければならない。
  そして福島原発事故の原因のいっそうの究明と教訓化、被災住民の生活再建、脱原発のエネルギー政策確立へ、政府の政策を変えていかなければなちない。
  偏狭なナショナリズムを煽り「戦争ができる国」をつくり、「人権の制限」をめざす動きも強まっている。
  このような情勢をふまえ、脱原発と反核・平和・人権・民主主義のとりくみを強め、力強い共同闘争をつくりだしていこう。


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