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部落問題資料室
NEWS & 主張

全社的責任認める
『週刊朝日』差別記事事件で
朝日新聞出版が

「解放新聞」(2013.10.07-2637)

連載の基調そのものが差別であり、
出自と結びつけ利益至上主義だった

 『週刊朝日』差別記事事件第1回糾弾学習会を9月25日午後、東京・ベルサール汐留でひらいた。糾弾学習会ではこの記事の連載全体のタイトルが「ハシシタ」で、基調そのものに差別があった点などを指摘。篠崎充・朝日新聞出版取締役が「これは明確な部落差別事件で、週刊朝日という一編集部の問題ではない。そうしたことを許している、企画・取材の問題、記事にし、発売し、掲載したのは会社全体の問題。人権無視について認識不足は彼らだけでなかった。無自覚だった」とのべ、『週刊朝日』差別記事事件は全社的な問題であることを認めた。また、人権の捉え方が会社として存在しないこと、問題の記事は目玉企画の一つでスタートしたが、売れればいいという考え方が「(橋下大阪市長の危険な動向とその出自―部落とを結びつけるという)インパクトをもった記事で読者を増やしたいとの側面があった。利益至上主義の側面があった。差別問題への認識不足が会社全体を覆っていた」ことも認めた。

佐野さんも猛省し決意示す

 筆者の佐野眞一さんは以前の反省文の一部を読みあげる形で、被差別の現実を知り言葉を失った、自分の行為は万死に値する、猛省し、部落問題に寄り添う作品を書きたい、と決意をのべた。
  松岡書記長が集約し、部落問題に思いが馳せられなかったのはなぜか、部落差別が現在もどう生きているか、差別記事がどんな影響を与えているのかを知り、会社としてどう部落差別に向き合うのか、どこに間違いがあったのかを明らかにし、同じ過ちはくり返さないようにしてほしい、と語った。組坂委員長は、前編集長が差別観念をもつにいたった経過をのべたが、こうした自己分析は重要、部落差別の現実に学び、出版界で差別をなくすリーダーになる決意で臨んでほしい、と結んだ。
  糾弾学習会には、中央本部から組坂委員長、岸田副委員長、松岡書記長、和田中執、赤井中執、北口中執、村井中執、谷川中執、安田中執が参加し、各都府県運から40人が参加した。朝日新聞出版からは、篠崎取締役はじめ、河畠大四・週刊朝日編集長(当時)、河野正一郎・副編集長(当時)、尾木和晴・雑誌本部長、週刊朝日編集部、アエラ編集部など19人が出席した。今回で社全体のもつ差別性と問題点を明らかにした。
  糾弾学習会では、松岡書記長がこの企画そのものが差別だった、タイトル、リードの文章など全体の問題だと気づかなかったのか、なぜ掲載を止められなかったのか、どこに問題があったのか、と提起。また、誰であれ戸籍情報を取ることに問題や違法性はないのか、と身元調査ともいえる「ジドリ」調査の問題点を赤井中執が指摘した。
  また、▽データマンの二人が契約社員ということで出席していないが、事実関係を明確にするうえでも出席を。契約更新をしたのなら出席を。このままでは二人が同じ過ちをくり返す可能性がある▽二人はどのようなデータを取り佐野さんに渡したのか▽祖父の関係で戸籍をみながら教えてもらったというが、戸籍を取っているのではないか、事実関係を正直に話してほしい▽地名をあげられた地元への謝罪がない▽地元ではこの記事が出て差別をうけた、など部落差別の厳しい現実を訴え、指摘した。


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