pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

実践をもちより第48回京都全研を成功させよう

「解放新聞」(2014.09.15-2683)

 「深まる人権と平和、民主主義の危機に抗して、差別・貧困の克服と社会連帯の実現にむけた理論と実践交流をすすめ、今日的な部落解放運動の課題を明らかにしよう」をメインスローガンに掲げ部落解放研究第48回全国集会を本年の10月20~22日の3日間、京都のみやこめっせを主会場にひらく。
  第一日目は、地元京都の部落解放運動の現状と課題を学ぶとともに、「被差別部落の子守唄」ともいわれている「竹田の子守唄」を地元京都府運改進支部の女性部によるコーラスで披露される予定となっている。また、シンポジウムは、「差別禁止法を求めて―ヘイトスピーチを糾弾する―」をテーマにおこなう。
  ヘイトスピーチについては、本年7月にジュネーブの国連本部でひらかれた自由権規約委員会で、日本政府報告書審査をうけたのち、総括所見が公表された。どれもが日本政府に厳しい内容が突きっけられているが、ヘイトスピーチへの勧告は、とくに厳しいものとして指摘されることとなった。

 日本政府が指摘された内容とは、つぎのとおりである。
  「朝鮮・韓国人、中国人および部落民などのマイノリティグループの構成員への憎悪および差別を扇動している広範囲に及ぶ人種主義的言説と、これら行為にたいする刑法および民法上の保護の不十分さに懸念を表明する。委員会はまた、頻繁におこなわれている許可を受けた極端論者のデモ、外国人の生徒・学生をふくむマイノリティにたいする嫌がらせと暴力、ならびに民間の施設や建物での〝ジャパニーズ・オンリー(日本人以外お断り)″などの看板・貼り紙の公けの表示について懸念を表明」し、「締約国は、差別、敵意あるいは暴力の扇動となる人種的優越あるいは憎悪を唱える宣伝のすべてを禁止し、そのような宣伝を広めるためのデモを禁止すべきである。締約国はまた、人種主義にたいする啓発活動のために十分な資源を割り当て、裁判官、検事および警察官が、ヘイトクライムや人種主義的動機による犯罪をみつける訓練を確実にうけるようとりくみを強化するべきである。締約国はまた、人種主義者の攻撃を防止し、加害者とされる者が徹底的に捜査され、起訴され、有罪判決を受けた場合は適切な制裁をもって処罰されることを保障するためにすべての必要な措置をとるべきである」(仮訳‥反差別国際運動)との勧告が示されている。


 これは、明確にヘイトスピーチそのものに規制を求めた厳しい勧告といえる。表現の自由を保障しっつ、ヘイトスピーチに効果的な規制をおこなうべきであると勧告された日本政府は、どのような措置を講ずるのか、国内外から注目を集めている。そんななかでひらく全国研究集会でのシンポジウムが、注目されることは間違いのないことであり、ヘイトスピーチを規制する法律の成立について影響を与える可能性さえ存在している。
  8月7日、首相官邸で安倍晋三首相と東京都の舛添要一知事が会談し、ヘイトスピーチにたいして「人権にたいする挑戦。2020年五輪を控えた東京でまかりとおるのは恥ずかしい」として法規制を舛添知事が求め、安倍首相は自民党内で対策を検討させる考えを示したと報じられている。差別規制法への気運が高まりをみせてきているあらわれでもある。人権政策について、けっして前向きとはいえない安倍首相みずからが、法規制を検討せねばならないほど、国際世論がヘイトスピーチ抑制に動き出している証しでもある。そろそろ日本政府も重い腰をあげざるをえない国際情勢といえよう。

 ヘイトスピーチにたいする法的規制の必要性が高まりをみせるなかでひらく部落解放研究第48回全国集会は、文字どおり「差別禁止法」の必要性を内外にアピールする絶好の機会となったわけである。
  21日の第二日目は、山場をむかえる「狭山再審闘争と司法民主化の課題」(第5分科会)、「戸籍等の個人情報大量不正取得事件と本人通知制度の取り組み」をテーマにした「人権啓発」(第4分科会)などがひらかれることとなっている。
  また、2015年度から施行される「生活困窮者自立支援法」について、その概要を学ぶとともに隣保館など地域の社会資源を活用し、困難をかかえた人びとの人間としての尊厳を守り、差別と排除のない地域社会の実現に向けた実践交流の場となるよう「人権・同和行政」(第2分科会)も企画・運営されることとなっている。
  貧困、高齢化、若者の流出など、被差別部落を覆いつくすような社会的困難にたいして、出番と居場所をどのようにつくりあげ、実践していくのか、おおいに議論し、交流しよう。京都全研の成功に向け、全国各地から実践をもち寄ることを訴える。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)