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人権と平和、民主主義の確立に向けた政治の実現へ全力をあげて推薦候補の必勝を

「解放新聞」(2014.12.08-2694)

 12月2日に公示された衆議院総選挙も、いよいよ終盤戦である。「大義なき総選挙」といわれるように、アべノミクスの失敗を居直り続け、みずからの政権維持のためだけに、700億円もの税金を無駄にする衆議院解散-総選挙である。しかし、この総選挙で、私たちは、憲法改悪と「戦争をする国」づくりを狙う安倍政権を退陣に追いこむために、推薦候補の必勝に向けて全力をあげなければならない。消費税率10%の再引き上げの延期を解散-総選挙の理由にした安倍首相は、アベノミクスの実績を強調し、経済政策を争点にしようと躍起である。
  安倍政権発足当初の、日本銀行の強引な金融緩和政策による、株価高騰と円安の進行を背景にした景気回復の演出は、すでに破綻していることは明らかだ。安倍首相は「デフレ脱却は確実にすすんでいる。景気回復は道半ば」として、景気悪化をさせないために、と脅し文句のように、アベノミクスの継続を強調している。しかし、「家計が苦しい」「景気回復の実感がない」というのが大多数の市民の声である。
  消費税率再引き上げの延期は、安倍首相自身が、みずからの経済政策の失敗を認めたことに等しい。いくら日銀が追加金融緩和策などを表明し、消費税率の再引き上げを後押ししようとしても、実質国内総生産(GDP)は、4月の消費税増税以降、2期連続マイナスである。家計の消費が冷えこんでいるのである。政権支持率を市況の活性化、株価高騰に依存してきた安倍政権の経済政策であるアベノミクスの破綻が明らかになったのである。
  この破綻に居直り、いまならまだ自公の与党で過半数を維持できるという姑息な算段をした、ただただみずからの政権維持だけのための総選挙である。このような安倍政権の暴挙を許さず、一人ひとりの投票行動で、反安倍政権の意思表示をしっかりと示そう。

 この2年間、安倍政権がすすめてきたことは、景気回復策であるアベノミクスにたいする発足当初の高い支持率と、一強多弱、巨大与党という政治情勢のなかで、「戦後レジーム(体制)」からの脱却をめざすことであった。それは、まさに戦前回帰の政治であり、安倍政権は、「特定秘密保護法」の制定、集団的自衛権行使容認の閣議決定を強行するなど、憲法破壊の暴挙を続けてきた。とくに、集団的自衛権行使に関連しては、「自衛隊法」改定などの関連法案を来年の通常国会に先送りした。また、日米両政府で協議されている日米防衛協力のための指針(ガイドライン)見直しについても、中間報告がまとまっているにもかかわらず、来年の統一自治体選挙後まで引き延ばす意向だ。しかも、この中間報告では、日米防衛協力の地理的制約である「周辺事態」を削除し、米軍を世界中で支援することを明記している。いまだに関連法案の骨子さえ示していないのにもかかわらず、すでに自衛隊を軍隊として世界各地に派兵することを米国に約束しているのだ。
  さらに、東日本大震災による福島第1原発事故が収束していないにもかかわらず、原発を「重要なベースロード(優先的に常時運用する)電源」として、鹿児島県の川内原発の再稼働をすすめている。政権発足当時の公約である「原発依存からの脱却」を投げ捨て、すでに「安全神話」がウソだったことが明らかになっているにもかかわらず、原発の輸出までしようとしている。まさに、安倍政権の本質は、人権と平和、民主主義と環境破壊の政治である。


 安倍政権は、4月の消費税増税とともに、社会保障制度の改悪をすすめている。後期高齢者の保険料減免措置の段階的廃止や介護報酬の切り下げ、生活保護費の削減などである。円安進行による食料品、衣料品の値上げ、実質賃金の低下など、アベノミクスの成果など、私たち市民の生活には無縁である。しかも、経済協力開発機構(OECD)による見通しでは、16年の実質国内総生産(GDP)の成長率は1%と「緩慢」であるとされた。これは、OECD加盟の先進国34か国中、イタリアと並んでもっとも低い数字だ。
  このように安倍政権が強調するアベノミクスの成果は、株価の高騰による見せかけの景気回復策だったことが明らかになっている。しかも、金融緩和政策は、富裕層をより豊かにするだけで、格差と貧困を拡大するいっぽうである。また、雇用が拡大しているとしているが、増えたのは非正規労働者で、正規労働者はかえって減少しているのである。不安定な雇用形態が続くなかで将来への希望をもてない若者が増えている。安倍政権は、こうした実態を無視し、解雇や労働時間などの雇用ルールを破壊する労働法制の改悪をもすすめようとしている。
  このように、安倍政権の2年間で社会の閉塞感が深まり、格差と貧困の問題はより深刻化している。さらに、社会への不平や不満、不安は、いまやヘイトスピーチのような直接的な差別排外主義の台頭となってあらわれている。安倍首相は、国連人権条約関係機関からの法規制もふくめた厳しい勧告をうけているにもかかわらず、在特会幹部との記念撮影を追及されても、居直るばかりである。
  安倍政権のもとで、人権・平和、民主主義と環境の課題は、大きく後退してきた。政治の流れを変えるのは、私たちの一票である。推薦候補の必勝に向けて全力をあげてとりくもう。


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