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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2100号/02.12.23

ナショナリズムの克服

姜尚中・森巣博 著 集英社新書(定価700円)

書籍画像 日本は明治維新後、植民地化を防ぎ、日清・日露戦争に勝利して「列強」に加わった。第二次世界大戦後には廃墟のなかから世界第二位の経済大国になった。こうした話を「戦争で勝たはったんは天皇陛下や。戦争で死んだのは父ったんや大勢の兵隊さんや」(映画『橋のない川』)のようにとらえられぬ為政者がなんと多いことか。
 「日本(人)」の「成功」ととらえるばかりか、その要因として「日本民族の優秀さ」「単一民族国家」などの排外的な大嘘がしばしば聞かれ、「教育基本法」に「愛国心」を盛りこむことさえ現実化しっつある現状だ。
 本書は、「民族アイデンティティの重みを背負って」日本に生きてきた姜尚中さんと、「あらゆる集団レベルのアイデンティティからの自由を目指す」オーストラリア在住の森巣博さんとの対談。日本のいまのナショナリズムの構造や歴史的な流れを解き、グローバル化のなかでの今後の動向と克服の方法を探る。被差別者のエンパワーメントにつながる、元気にあふれた一冊だ。(K・S)

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