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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2112号/03.03.24

日本の歴史25
日本はどこへ行くのか

比屋根 輝男  T・フジタニ ほか 著  講談社(定価2500円)

書籍画像 「日本」そのものがフィクションであるとは、歴史学、社会科学のうえでは今日常識である。国民国家として形成されてきた日本が「単一民族史観による他者排斥・抑圧・侵略をくりかえしてきたのが、近代社会の偽らざる姿だった。今こそ近代を問い直す重要な契機が、ここにある」というのが、この書の執筆した者の共通の問題意識である。
 姜さんは、開かれた地域主義としての東アジアの構想をもつことを、よびかける。また、日本の周縁部・マイノリティ・被抑圧民族の視点から近代を問う筆者もいる。このマイノリティと対極の位置にいる象徴天皇制を問う論文もある。ここでは、女性天皇、人種・民族的ナショナリズムの問題が展開され、大きな差別的システムと共鳴する日本のナショナリズムを固定することに天皇制は今なお役立っていることが解明される。
 いずれの論文も、豊富な示唆を含んでいる。
 ところで、部落問題を同じような視点から描いたものはないのか。そうした作業が必要だと痛感させられた一冊だ。(A)

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