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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2142号/03.10.27

天皇と
日本人の課題

井崎 正敏 著  洋泉社(定価720円)

書籍画像 近代日本での変革思想にとって天皇制問題は、思想的・実践的にも試金石である。敗戦後、「象徴天皇制」に変貌したものの、さらに「戦争責任」問題を加えて「戦後社会―国家」を考えるためには、やはり避けてとおれぬ問題・課題でありつづけている。
 この本は、この間いにたいして、3年前に民主主義国家の自立をめざし、脱天皇論として討論し話題をよんだ「天皇の戦争責任」(径書房)、その続編「天皇の戦争責任・再考」(洋泉社)に連なる書である。筆者はこれら10人の討議をふまえ、いま天皇制を論じる意味を探そうとしている。筆者は、現在、天皇制が抱える問題点を8項に整理し、みずからの問題意識を吟味する形で根底から問い直し、「国民」が天皇から自立する意味と条件を提起している。決して論点に新しいものがあるわけではないが、論議の材料と手がかりは豊富だ。
 ただし、その論考の末の「答え」は……。「戦争する国家づくり」がすすむ今日、この本から天皇制国家を撃つ視点を考えてみよう。  (M・T)

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