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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2129号/03.07.21
 第29回部落解放文学賞の表彰式が7月12日、大阪でおこなわれた。受賞者からは、書くこと、文字を獲得することが、生、生命を紡ぐことであることが語られた。来年30回を迎える文学賞が、ますます発展することを期待したい
▼詩部門の選者の一人、金時鐘さんは入選作の詩の選評のなかで、想像力が事実をこえたものになると語った。また、ある文学者は想像力こそが闇のなかの事実をうかびあがらせるものといっている
▼最近の戦争、とくに90年の湾岸戦争いらい、テレビゲームのような感覚がメディアを支配している。ピンポイント攻撃のさまが映像としてうつし出されても、そこで多くの人が殺されているとは想像がはたらきにくい。メディアは、ことさら死傷者の数の少なさを宣伝する
▼90年に引きつづいて、このイラク戦争でも劣化ウラン弾が大量使用された。戦車などを破壊し、乗員を死亡させる劣化ウラン弾は、また、地中にもぐり地下水汚染などを通じて環境を破壊し、とりわけ乳幼児を死に導く。しかもウランの毒性は半永久的なのだ
▼戦争が終ったのは死者にとってだけだ、という有名な言葉があるが、まさにイラクでは半永久的に乳幼児やそこに住む人びとは死の危機にさらされつづけることになる。これは静かなる虐殺である
▼こぅした想像力をもつことが、差別にたいして闘うというときも有力な武器となることはまちがいない。

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