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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2179号/04.07.26
 鎌田慧さんが書いた『狭山事件―石川一雄、41年目の真実』(草思社)がよく売れている。すでに1万5000部が印刷され、書店で売れている
▼狭山事件の発生時からの流れがよく分かるうえに、石川さんの生い立ち、奪われた文字を取り戻すために苦闘する姿も描きこまれている。この本のキーワードは、文字から逃げてきた当時の石川さんが、はたして脅迫状を書くことがあり得るのかどうか、というところにある
▼たしかにそうだ。非識字者にとって、文字で相手を脅そうなどという発想がそもそも出てくるはずがない。自分が文字を書けない、まして文章構成力がないことがわかっているからだ。文字そのものから逃げる生活をおくっているからだ
▼鎌田さんは、非識字者の存在を認めず、すべてを自分の尺度だけで計る司法関係者を批判する。そうしたエリートを、文字を獲得した石川さんが打倒する具体的な場面を上告趣意書にみる
▼狭山事件の根底に流れる部落差別の現実を、見事に描ききった作品でもある
▼さきの参議院選挙では、見事に「解放の議席」の奪回に成功した。各都府県連に結集する兄弟姉妹の大きな努力による勝利だ。当選した松岡書記長は、法務委員会への所属を希望している。それは、日本の人権政策の確立のためだ。狭山に関しても委員会で論議する決意を、弁護団会議で示した
▼ここを拠点に解放の議席を大きく飛翔させよう。

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