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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2236号/05.09.19

江戸娯楽誌

興津 要 著  講談社学術文庫(定価900円)

書籍画像 近世江戸、大坂のまちなみや大道での見世物のいぶきが伝わってくるのが、この興津要著『江戸娯楽誌』だ。興津は近世江戸を中心に庶民のさまざまな動向を、これまでにも本にしてきている。たとえば、食べ物、物売りなど。いまはなくなってしまった旺文社文庫でその作品を読んだ。
 この本の親本は83年作品社から出版されたもの。いつものように小咄や川柳から豊富な引用をし、博学ぶりを大いに見せつける。
 見世物―大道芸とは近世では被差別者が担ったもの。中世雑芸能との関連でみれば、その多くが近世にも受けつがれ発展していることがわかる。また歌舞伎との関係をみても、軽業、曲馬、綱渡りなどの芸が、みごとに組み入れられていることがわかる。当時のあらゆる雑多なものをつめこんだ最先端の芸が脱賤化された歌舞伎にあったのだ。
 いまフランスで大人気の曲馬も、それと並ぶようなすぼらしいものが近世にもあったが、幕末からの外国人曲馬に王座を奪われたとの記述は、大きな発見だった。(A)

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