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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2216号/05.04.25
 三木成夫が描く「生命記憶」はきわめてユニークだ。かいつまんでこの中身を紹介すると、地球のなかの全生命体が、どのように36億年の歴史を生きてきたのか、その生き方の全記憶が、私たちの身体、行動、思想の背景にしみついているのかということを三木は語っている
▼たとえば「なめまわすように見る」という言葉。たしかに赤ん坊はハイハイをする時期に、なんでも手にとってなめまわす。生まれてすぐの人間は、見るだけでなく、なめることハウことなど、五感のすべてを動員して世界を知り、実感していくということだ
▼じつはこれも36億年の記憶の一部なのだ。舌は体内にあるが内臓の最先端部分なのだ。太古からの舌の筋肉は手に移った。手と舌は同じということで人間の記憶のなかにしっかりとしみついているのだ。「のどから手が出る」という表現は、このことを示している
▼私たちは前を向いて歩く。しかし、その背後には、じつは何世代もの人びと、生物の進化のくり返しがあるのだ。そうした歴史の重層性を背負った存在が私たち1人ひとりなのだ
▼ふり返ってみよう、この100年間の歴史を。この短いスタンスの時間の流れのなかで、どのように「記憶」が人びとのなかで育まれてきたのかを
▼ポストコロニアルの時代のなかで私たちにはまだまだ解決していない問題があまりに多く存在する。現在をそうした視点で見つめよう。

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