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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2266号/06.04.24

壁をたたく音がきこえる
ハンセン病患者冤罪処刑藤本事件に再審・無罪を

山下 峰幸 ほか 著  「らい予防法」違憲国家賠償
請求訴訟を支援する市民の会(定価1000円)

書籍画像 画期的な熊本判決をベースにハンセン病にかかわる「戦後補償」が一応の決着を見せてきた。日帝下の植民地であったソロクト・楽生院裁判の判決とその後の補償も不十分ながら、「解決」の方向をたどった。しかし、このハンセン病患者隔離政策がもたらした罪過の多くは闇のなかに埋もれたままだ。
 本書の「藤本事件」の真実も明らかにされる必要がある。昨年の市民学会結成総会のなかでもこの事件の見直しが提起された。「ハンセン病施設を逃走し、自分の病気を警察に告げ口した男を殺害した」という事件だ。
 シナリオがハンセン病にからんだことなら誰も疑問を挟まないだろう。こうした偏見がこの事件の背後にまとわりつく。
 無罪を訴えたまま、死刑囚として処刑されたこの事件の再審と無罪を求める声は、大きなとりくみにならずにきた。たんに地縁、血縁がからむというだけではない。そこにハンセン病というアンカーが真相の究明を阻んできたともいえる。
 真実を求める人たちの真摯な訴えを手にしてほしい。    (安)

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