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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2265号/06.04.17
 フランス政府が新雇用制度を撤回した。この制度は26歳未満を雇えば2年以内の試用期間中は理由を示さず解雇できる、とするもの。高校・大学生を中心に大規模なデモが展開され、3月末、4月はじめには300万人が街頭に出て、反対の意志を示した
▼主要な組合の労働者も交通ストなどで支援した。労学の社会全体の闘いの勝利だ。高校や大学は封鎖され、若者は討論を組織し、人種や学歴や年齢を問わない雇用問題を論議した。昨秋、移民労働者の若者による郊外暴動も当然論議にあがった
▼この新雇用策の根底にあったのはグローバル化のもとでの労働のあり方だった。「若者の雇用を増やすために」という口実で、これまでフランスの労働者が築きあげてきた権利を奪い取り、大競争のもとに労働者を投げだそうという政策だ
▼セグメントという言葉がある。学校や家庭や地域や組合という中間的なものが崩壊し、一人ひとりがむき出しにされ、ばらばらのまま社会に投げ出されることだ。いまの状況がそうだ。そういうときにこそ、フランスのような闘いが重要になる
▼労働者の4人に1人が年収150万以下、所得格差が168倍というこの日本で、「労働契約法」制定が目論まれている。フランスの制度と同じように3年間に試用期間を延長し期間内なら解雇を可能にしようとするものだ
▼このとき、フランスのように闘えるのかどうか、私たちは問われる。

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