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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2338号/07.10.01

全記録 炭坑

鎌田 慧 著  創森社(定価1800円)

書籍画像 炭鉱と聞いたときに思いうかぶのが、60年の三池闘争のときのホッパー(貯炭層)前での労働者と警察との対決の写真だ。そしてもう1枚の写真は松本治一郎委員長が、労働者との連帯を示すために、この三池の闘いの現場に登場したときのものだ。
  三池の労働者のヘルメットにまきつけられた3本の線が、団結・抵抗・統一をあらわすことは、この本ではじめて知った。
  三池の闘いの敗北後、エネルギー政策の転換を理由に炭鉱はつぎつぎに閉山していく。追われゆく坑夫たちは、「去るも地獄、残るも地獄」というなかで、新たな炭鉱を求めて移動する。「わが家ももてず、田畑もないけん。子どもを太らすのが精いっぱいですたい」と語りながら。
  死と背中合わせの労働。事故の惨状と会社側の対応も描かれる。閉山によって、ついに陸へもあがれぬ坑夫の姿と同時に、操業当初は囚人、戦中は強制連行した朝鮮人、中国人の命をもとにこえ太り、あとは野となれ山となれと閉山し逃げる大資本、企業城下町の姿も描かれる。
  この本は、ヤマにかけた坑夫たちへの鎮魂歌でもある。     (A)

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