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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2364号/08.04.07
 刳り小刀は、えぐって穴を開けるための木工用の道具だ。袴田事件の場合は、刃渡り約14センチのもので4人を殺害したとされている。しかも40か所以上も傷を負わせ、肋骨の切断された被害者もあった。そんなことが可能かどうか、袴田弁護団は実験も含めて鑑定した
▼大きな力を出しても肋骨を切断することは不可能、無理やりたたき込むと刃先が簡単に折れ、刃身が曲がってしまう。ということは刳り小刀だけでは殺害できないことになる。しかも殺害現場では通常の家庭にはあるはずの包丁類はいっさいなかった
▼こんな新証拠も示し、弁護団は最高裁に再審開始を迫った。しかし凶器の問題はいっさい語らず、はけないズボンを袴田さんのものだと「記録」だけで断定し、自白以外の客観的証拠だけで有罪とできる、と居直った再審棄却決定を3月24日付けでおこなったのが最高裁だ
▼日本のボクシング協会、関係者が、プロボクサーならやりかねないとの偏見は間違いだ、と袴田さんの無実を訴える輪を大きく広げている最中だった。昨年、えん罪事件の多発が世間に明らかになったことの反動で、お上の決めることに間違いはない、とする見せしめ的な棄却だ
▼しかも一審の死刑判決を書いた裁判官は、無実だと思っていたが多数決で有罪となり判決を書いたと身を賭して告白していたのだ
▼えん罪という権力犯罪を許さない輪を、さらに大きくしていこう。

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