pagetop
部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2387号/08.09.15
 火野葦平原作の小説『花と龍』は、筆者の父、玉井金五郎と妻のマンを主人公に北九州の仲仕の生活を描いたもの。実話として、義侠心、義理と人情の世界も描かれる。この金五郎の孫にあたるのが、ペシャワール会の医師、中村哲・現地代表だ
▼アフガニスタンでペシャワール会を立ち上げ、ハンセン病の人びとへの治療から一般病院へと発展させた。現地の貧困、飢餓状態の根っこにある農業問題の解決のために、灌漑事業も始めた。もちろん現地の人びとの圧倒的な支持を集めている
▼ところが、8月末、現地のメンバーの一人、伊藤和也さんが反政府組織に拉致され、殺害された。あらためて冥福を祈りたい
▼中村さんは、欧米軍が7万人に増派され戦火は泥沼状態になった、「対テロ戦争」の破産は誰の目にも明らかになった、と昨年度の状況をのべている。そして政情以上に重要なのは大干ばつによる食料不足だと訴える。しかし、軍事力増強だけを図る欧米は真剣なとりくみをしていない、とも
▼現地では日本軍派遣検討の記事が出てから「身辺に危機を感ずるようになった」という。そうしたなかで起きたのが、今回の事態だ
▼NGOを丸裸で行かすわけにはいかない、とまたまた見当違いの論議がおこなわれようとしている
▼「治安の悪化は武力では解決しない。空腹を満たす環境を作ることが大切」と訴える中村さんの言葉を胸に刻みたい。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)