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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2439号/09.10.12

訊問の罠――足利事件の真実

菅谷 利和・佐藤 博史 著  角川ONEテーマ21(定価705円)

書籍画像  今年6月、無実を訴えつづけていた足利事件の管家さんは突然、釈放された。そして、えん罪を証明したDNA再鑑定にふみきった裁判長は交代し、6月23日、東京高裁の矢村宏・裁判長が、再審開始決定を強行した。えん罪の真相糾明どころか、鑑定が突き止めた犯人のDNAの真実の型を、18年前の科学警察研究所の重大な過失とともに闇に葬ろうとする、犯罪的な決定の強行だった。
 判明した犯人のDNAの型は、足利事件の真犯人だけでなく、他の2件の幼女誘拐の犯人解明の重大な
がかりでもある。しかし、矢村裁判長は、それを突き止めた鑑定への判断を避け、別のDNA鑑定だけを認めて再審開始決定した。足利事件だけでも、遺族の損害賠償請求権の時効はまだなのに。犯人隠避である。
 同時に彼は、科警研の過失への判断も避けた。足利事件と同じく科警研のDNA鑑定で犯人にされ、一環した無実の訴えにもかかわらず、昨年10月、当時の森英介・法相が死刑執行した飯塚事件の隠蔽でもある。
 私たちは、あたかもDNA鑑定の進歩でえん罪がわかったかのように思わされてはいけない。国家犯罪の事実が無実を示す。すみやかな判決を許さず、国家による犯罪の徹底糾明を。      (K・S)

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