知っていますか？　一問一答　戸籍と差別

佐藤　文明　著　　解放出版社（定価1200円）

　沢田研二、山口百恵、岩崎宏美、ピンク・レディーなどの取材を担当し、『週刊大衆』の連載・日本歌謡界総覧を編んだ一人のフリーランスライター・佐藤文明の遺作が本書。
　 ぶんめいさんとよばれることの多かった彼のライフワークは婚外子差別などをはじめとした戸籍制度との闘いだった。そのことは近著の『ウーマンリブがやってきた』（インパクト出版会）に詳しい。
　 ぶんめいさんは、戸籍制度の廃止をみすえながら、抜本的見直しを１日も早く実現させようと、この「知っていますか？一問一答」シリーズを新しい入門書と位置づけ、解放出版社から出版した。
　 「住所と本籍の違い」「戸籍調べや身元調査」「結婚差別」「部落地名総鑑」「独身証明」「事前登録型本人通知制度」など、部落解放運動がとりくんできた課題も多くの紙数をさいている。
　 「本書は人権の確立を願う多くの住民と、その思いに応えようとする個人情報取り扱い事業者、自治体職員や政府関係者に問題を提供しようとするもの」（はじめに）だ。
　 とくに身近な解放出版社からの発刊でもあり、「さらにくわしく知りたい人のため」の本の紹介もある。ぜひ一読を。　　　　　（E）