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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2547号/11.12.12
 1986年に福井県で中学3年生の女性が殺害された事件で、名古屋高裁金沢支部は無実を訴えて続けてきた前川彰司さんへの再審開始決定を出した。前川さんは、実刑判決を受け、服役したあと、再審を申し立てていた
▼血まみれになった前川さんをみた、車に乗せた、犯行を打ち明けられた、などという知人供述が確定判決の決め手とされてきた。しかし、これらの供述が変遷を繰り返し、最終的に整えられたものであることが、証拠開示で明らかになった
▼商業新聞各紙は一斉に、検察の証拠開示が不可欠とのコメントを載せた。刑訴法学者は、税金を使い収集された証拠は、被疑者を犯人とするために、警察・検察側に有利なものだけを裁判所に提出するのではなく、真実を発見するための公共財と考えるべきことを主張している。当然のことである
▼だがこの事件、常識的に考えてすぐにわかる疑問点がある。真犯人は犯行現場の被害者宅に指紋、足跡など犯人の特定に結びつく痕、跡をまったく残していないのである。これは犯行の計画性と冷静な状況把握能力を示すものだ
▼しかし判決では前川さんは血まみれの衣服のまま人前に姿をさらし、友人に犯行を告白したとされた。市民常識に照らせば、でっち上げは明白だ
▼やはりというべきか、なんというべきか、それでも検察は異議申し立てをおこなった
▼こんな司法のあり方、根本変革するしか市民がえん罪を免れる道はない。

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