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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2641号/13.11.04

原典で読む 日本デモクラシー論集

堀 真清 著  岩波書店(2100円+税)

書籍画像

 本書は、国民国家として歩み出した明治日本が、歴史に翻弄されながらも民主主義を獲得していく過程の代表的な言論をまとめたもの。なぜ、民主主義なのか。編者は冒頭にアメリカの神学者の言葉をおく。「人間の正義をおこなう能力はデモクラシーを可能とし、人間の不義・不正への傾きはデモクラシーを必要とする」。本書には、歴史に影響を与えた33の論文が収められている。
  その中の一編に、「田中正造翁の璽戸が収められている。石川三四郎が1932年に書いたものだ。今年は田中正造が逝って100年がたち、福島第1原発事故をへて、足尾鉱毒事件との対比でマスコミにも紹介されることがふえた。
  石川は、その一文のなかで田中正造を「二十世紀初頭に世界が有した最大無比の預言者」とのべ、「今や世界のカタストロスに直面せる民衆のなかに赫々たる光輝を放ってその前途を照らしている」と結んでいる。旧約の預言者エレミヤの生涯にも似た田中の言動はまさしく、色あせることなき預言である。
  このほか「水平社宣言」や「信教の自由」(矢内原忠雄)、「国境をこえる祈り」(和田春樹)など、誠実に時代と向き合った人びとの言葉が感動的である。     (安)


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