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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2633号/13.09.02
 1973年、「強靭で且つ良心的な弁護団と科学者が伊方住民と力を結集して起こしたわが国初の反原発裁判」が伊方原発1号炉取消訴訟だった。78年4月、松山地裁で敗訴。「辛酸入佳境」(つらく苦しいことが本格的に)と住民はあらわした
▼85年、高松高裁で敗訴。今度は「げどう がんごに屈す」(外道(裁判所のこと)が横暴な権力・金力に屈した)とあらわした。裁判は92年、最高裁で棄却された
▼原発を「サタンの火」とよび、住民の訴訟を支え続けたのが、藤田一良弁護団長だった。裁判の途中、1979年、伊方と同型の原子炉がおこした「米スリーマイル島事故」のときに「私たちを含めて反原発運動の無力さがこんな事故を防ぎえなかったことにたいする残念な気持ちが先に立つ」とコメント。ただちに弁護団や学者を引き連れ現地視察した
▼藤田弁護士はあいつぐ敗訴にもめげなかった。「けだし真実は執拗である」がモットーであった
▼この精神は狭山事件の弁護でも生かされた。裁判所による「余りにも露骨な証拠によらない「請求人が犯人である」という予断にもとづく推測であり、「事実認定は証拠による」という裁判の基本原則の否定である」と執拗に主張し、新証拠を突きつけ続けた
▼猛暑が続くなかでの葬儀の日、フォークシンガーで翻訳家の中川五郎は「文学、音楽、人生を教わった」と書いたが同感だ。8月17日、85歳で藤田弁護士は永眠した。合掌。

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