pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
人権教育・啓発推進法案
社会民主党
2000.4.19

第一(目的)
 この法律は、特定の個人や社会集団が人権を侵害され差別を受けている現実があり、差別をあらゆる方策を駆使して撤廃することが、人権政策の基本であり、かつすベての国民にとって緊要の課題であることにかんがみ、日本国憲法の保障する基本的人権の尊重並びに国際人権関係諸条約等の趣旨に基づき、また、住民の直接参画や自主的活動への支援など住民と連携しながら、差別意識を解消し人権意識を高揚するため、人権教育・啓発に関する施策の基本となる事項を定めることにより、人権教育・啓発に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もってあらゆる差別の解消と人権の確立に資することを目的とする。

第二(定義)
 この法律において「人権教育・啓発」とは、部落差別をはじめあらゆる差別を撤廃し、差別意識の解消と人権意識の高揚を図るため、学校教育や社会教育など社会のあらゆる場での人権確立に向けた教育・啓発に関する活動をいう。

第三(基本課題)
 国及び地方公共団体が行う人権教育・啓発は、学校教育や社会教育など社会のあらゆる場での差別意識の解消と人権意識の高揚を図るため、積極的に推進されるとともに、部落問題をはじめ人権と差別に関わる具体的諸問題を解決するよう、特別の配慮が講じられなければならない。

第四(国の責務)
 国は、人権教育・啓発を推進するため、必要な行政機構の整備を図り、人権教育・啓発に関する基本計画を策走して総合的な施策を実施するとともに、地方公共団体が推進する人権教育・啓発に関して支援する責務を有する。

第五(地方公共団体の責務)
 地方公共団体は、国の施策に準じ、人権教育・啓発に関する施策を策定し、実施する責務を有する。

第六(事業者の責務)
 事業者は、その事業所における人権尊重の意識の高揚に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する施策に協力する責務を有する。

第七(国民の努め)
 国民は、自ら人権尊重の意識の高揚に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する人権教育・啓発に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第八(国の基本計画)
 国は、人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進するため、次に掲げる施策についての基本計画を策定し実施するととともに、基本計画を策定したときは国会の承認を受けなければならない。

  一、「学校教育や社会教育など社会のあらゆる場を通じた系統的な人権教育・啓発の実施
二、国内外の人権教育・啓発に関する情報収集・整理
三、系統的な人権教育・啓発のための教材・指導方法の開発。カリキュラム編成
四、人権教育・啓発のための指導員、推進員等の養成・研修、育成
五、高等教育機関、研究機関での人権教育・啓発に関する調査・研究体制の整備・拡充
六、部落問題をはじめ具体的諸課題に係る人権教育・啓発の実施
七、検察職員、矯正施設・更正保護関係職員等、入国管理関係職員、教員・社会教育関係職員、医療関係者、福祉関係職員、海上保安官、労働行政関係職員、消防職員、警察職員、自衛官、国家公務員、地方公務員、マスメディア関係者、裁判官など、特定の職業に従事する者に対する人権教育・啓発の実施
八、企業など事業所における人権教育・啓発の推進
九、人権教育・啓発に取り組む民間団体やNPO等との連携、及びその活動促進・支援
十、その他、人権教育・啓発の推進に必要な施策 第九(地方公共団体の基本計画)  地方公共団体は、人権教育・啓発を総合的かつ計画的に推進するため、国に準じて基本計画を策定し実施しなければならない。

第十(財政上の措置等)
 国は、人権教育・啓発に関する施策の推進に必要な財政上の措置を溝ずるとともに、地方公共団体に対して必要かつ特別な財政支援を行わなければならない。

第十一(調査実施及び年次報告)
 政府は、定期に、人権教育・啓発に関する施策に必要な調査を実施するとともに、毎年、人権教育・啓発に関して講じた施策に関する報告及び当該報告に係る状況を考慮して講じようとする施策に関する文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

第十二(人権擁護推進会議)
 内閣府(総理府)に、人権教育・啓発を通じた差別意識の解消と人権意識の高揚、及び差別の根絶に資する計画策定や現状把握、効果測定調査などを総合的に実施するために、人権教育のための国連10年推進本部を国連10年終了後改組して、内閣総理大臣を長、関係大臣等を委員とする人権擁護推進会議(仮称)を設置するとともに、地方公共団体にも、国に準じた推進会議を設置する。

第十三(人権教育啓発審議会)

  一、国に、人権教育・啓発審議会(仮称、以下「審議会」という)を置く。
二、審議会は、当事者を代表する委員を含む人権問題及び人権教育・啓発に関し学識経験のある者によって構成する。
三、審議会は、人権教育・啓発の施策について調査審議し、内閣総理大臣又は関係機関に結果を報告するとともに、勧告を行い、必要な協力を求めることができる。
四、地方公共団体に、国に準じた審議会を置く。

第十四(指導員・推進員等)
 国及び地方自治体は、人権教育・啓発に関する指導員・推進員等の養成・研修を図り、資格認定制度を整備するとともに、国、地方公共団体、事業者は指導員等を置かなければならない。

第十五(研究・啓発法人等)
 国及び地方公共団体は、人権教育・啓発に関する情報・資料収集、調査、研究、啓発業務を行うことを目的とする研究・啓発法人等を設置しなければならない。

第十六(当事者・住民参加)
 国及び地方公共団体は、基本計画策定など施策の計画段階から、人権教育・啓発に取り組む民間団体やNGO、NPOなどと十分な連携をとり、あらゆる場での当事者・住民の参加を保障しなければならない。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)