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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張
各地での行政闘争強化へ
大きな闘いを創り出そう

 本年三月末で「地対財特法」の期限切れを迎えた。五月にひらいた第59回全国大会でも確認してきたように、三十三年間にわたって実施されてきた「特別措置法」のもとでの「同和」行政の成果と課題を明らかにしながら、あらたな「同和」行政の発展、人権行政の確立をめざすとりくみをすすめていかなければならない。
 とくに、これまでの「特別措置法」のもとで、「同和」対策事業の対象地区とされてきた「地区指定」はなくなったが、部落差別が解消されたわけではないし、もちろん被差別部落が霧のように消えてしまったわけでもない。全国大会運動方針書でも明らかにしたように、各地の実態調査結果では、住宅・道路などの住環境の面では一定の成果をあげてきたものの、低い上下水道整備率や老朽化した住宅の建て替えなどが大きな課題になっている。また「未指定地区」「事業未実施地区」がいまだに劣悪な住環境のまま放置されていることも急務の課題となっている。

 さらに差別事件の集約では、いまだにインターネットによる差別書きこみや差別落書・投書事件のほか、悪質な結婚差別や差別身元調査事件なども報告されており、差別糾弾闘争のとりくみの強化とともに、自治体段階での「人権教育・啓発推進法」の活用や「国連人権教育10年」の推進など、具体的な実践が求められている。
 また、現在国会に提出されている「人権擁護法案」にたいする抜本修正要求の闘いなど、人権確立にむけた法制度・政策の整備のとりくみは、「同和」行政・人権行政の推進にとっても重要な課題である。とくに政府案では、人権救済機関として設置される人権委員会の構成や独立性、被害救済の実効性、地方組織体制など、さまざまな問題点があり、さらにマスメディア規制などについてもきびしい批判が出されている。
 われわれは、「部落解放基本法」制定要求国民運動を推進するなかで、人権侵害被害救済制度の確立をめざしてきた。しかし、現行の政府案は、入国管理局、刑務所施設などで人権侵害事件を多く起こすとともに、差別糾弾闘争を否定し、差別事件の解決を妨害している法務省の外局として人権委員会を設置することや、地方は事務局を置くのみで、法務省職員や人権擁護委員が対応するなど、独立性、実効性に大きな問題があり、これらの点についての抜本修正を求めてとりくみを強めているところである。

 昨年全国でとりくんだ「同和」行政発展・継続大行動では、法期限後の「同和」行政の発展と人権行政の確立に向けて、自治体交渉を実施してきた。とくに、「特別措置法」のもとでの「同和」行政の成果を確認し、課題や反省を明らかにするなかで、各自治体とは、「特別措置法」の有無にかかわらず、部落差別のある限り、「同和」行政は積極的に推進していくという基本認識を共有してきた。
 しかし、法期限後の「同和」行政がはたして、部落問題解決、人権確立の課題を明確にしたものとして、とりくまれているのか、点検や見直しが必要である。自治体に「同和」行政推進基本方針を策定させるとともに、現行の一般施策の活用・改革や、必要な施策の創設など、新たな「同和」行政推進に向けた理念や行政機構を充実させ、内容を豊富化、具体化していくことが重要である。
 七月末には、全国幹部・活動家研修会をひらく。59期運動方針の具体化、とくに行政闘争の強化をめざし、地域での実践、課題を出し合い、「同和」行政の発展と人権行政の確立に向けて、大きな闘いを創り出そう。

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