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全国女性集会の成功へ各地で
とりくみをすすめよう

 部落解放第48回全国女性集会を、一月十八、十九日の二日間、高知県でひらく。
 この間、全国女性集会の成功に向けて、集会開催時期・日程・規模・運営方法などについて中央女性対策部会議での論議をふまえ、全国女性対策部長・女性部長会議をひらき、全国女性集会の運営方法などについて確認してきた。
 今回の全国女性集会は、千五百人規模で一泊二日開催となり、一日目は全体会を、二日目は七分科会に分かれ分科会ごとでのまとめをおこない、午後三時で全日程終了となる。

 部落解放運動は八十年の歴史と歩みのなかで、一九六九年の「同和対策事業特別措置法」いらい、部落問題解決に向けたさまざまな施策がおこなわれ、住環境を中心として一定の成果をあげることができた。そして、十七年間の「部落解放基本法」の闘いは、「特別措置法」の延長だけではなく、二〇〇〇年十二月の「人権教育・啓発推進法」の制定など、日本の人権政策確立に向けた闘いとしても大きな成果をあげることができた。
 また「人権擁護法案」についても、「部落解放基本法」制定の闘いが生み出したものだ。「人権擁護法案」の抜本修正を求める闘いは、この臨時国会では継続審議となりそうだが、私たちは真に実効性のある人権救済制度確立に向けて、全力をあげてとりくみをすすめなければならない。「法」期限を迎え、部落差別をはじめあらゆる差別撤廃のために、どんな法制度が必要で、どんな政策が実行されなければならないのか、各都府県連・支部で意見や知恵を出し合い、要求を組織し、闘いをすすめていかなければならない。
 狭山再審の闘いでは、一月、東京高裁が第2次再審請求棄却にたいする異議申立棄却という不当決定を下した。私たちは、棄却決定への徹底した批判学習をおこない、広く市民に知らせる草の根活動を展開し、全国各地の住民の会と連携を深めながら証拠開示のルール化を求める運動をすすめるとともに、事実調べ、証拠開示をかちとらねばならない。さらに、結婚・就職での差別、インターネットによる悪質・巧妙化する差別事件、差別身元調査事件がいまなお起こつている。とくに差別身元調査事件については、徹底した真相究明と社会システムの変革へと運動を展開しなければならない。
 そして、こうしたとりくみをとおして部落差別の実態、差別意識のあり方を正確に分析し、問い糾すだけの糾弾闘争ではなく、豊かな人間関係の創造と社会変革をめざす差別糾弾闘争をつくり出していくことが求められる。
 また保育、子育てや識字のとりくみでも、女性部が中心になって活動をすすめてきた。これまでの保育、子育ての活動では、十七号通達(「『同和保育について』の作成について」)をふまえた、新通達十号の積極的活用や「子どもの権利条約一「人権教育のための国連10年」や「新エンゼルプラン」を推進し、保護者・地域・家庭でのとりくみをしっかり結合させ、いままでのような性的役割分担ではなく、解放保育・同和保育の成果を生かし、男女平等の視点をふまえた人権保育を創造していくことが求められている。
 さらに女性部を中心に「文字を奪い返す」とりくみとしてすすめてきた識字活動の原点を再確認し、パソコン教室やアジアの人びとが中心に参加する日本語学級のとりくみなど、新たな識字活動の可能性も視野に入れながら、幅広く連帯交流を実現していくものにする必要がある。
 今年は、日中国交正常化三〇周年という記念すべき年を迎え、中華全国婦女連合会主催の「世紀の約束 日中女性北京の集い」が開催された。日本からは二十二団体、四百七十八人が参加。部落解放同盟も日本婦人会議や社民党女性委員会とともに、土井たか子社民党党首を団長として百五十四人の団が構成され、そのうち、私たち部落解放同盟女性訪中団は、各府県連の代表者二十七人で参加した。
 シンポジウムや交流学習会などに参加し、「日中女性の友好と連帯でアジアの平和をつくる」ことを確認し合った。今後も、さまざまな差別問題や人権問題ととりくむ女性団体から学び、共闘を深めるとともに、世界の女性たちと手をつなぎ共闘をすすめる反差別国際連帯の活動も女性部の重要な課題である。

 現在、ブッシュ大統領は昨年の「同時多発テロ事件」を契機として、国際世論を無視したイラク攻撃計画など、ますます軍事行動を強めている。このブッシュ政権に協力する小泉内閣は、自衛隊の海外派兵と有事法制の制定・憲法改悪策動など、再び戦争と人権抑圧の時代へと戻そうとしている。
 現在、企業の倒産、熟年労働者のリストラ、若年層もふくめた就職難、そして失業者が年年増大している。小泉内閣の構造改革で精神的、肉体的にも痛みを負わされているのは、労働者をはじめ権力をもたない者だけだ。なんの経済政策もおこなわれず、不況はますます深刻になっている。
 また、小泉首相の訪朝で明らかになった「拉致事件」も現在、真相を求めるとりくみがすすめられている。しかし、その一方で、朝鮮学校女生徒にたいする暴行事件や嫌がらせなど、いたましい事件がまたも起きている。いまだにつづく差別・偏見の暴力事件を許すことはできない。
 いまこそ、平和で差別のない社会、戦争と暴力の根絶をめざし、子どもたちが希望をもてる社会の実現に向け、闘いを前進させなければならない。

 少子・高齢化時代を迎えた今日、お年寄りや障害者、ひとり親家庭、子どもたちが地域のなかで安心して暮していけるまちづくりを創造するためにも、相談活動、世話役活動が重要なとりくみとなる。「人権と福祉のまちづくり」の実現のために、女性が先頭にたって、「地域福祉計画」に「部落問題の解決」を位置づけさせなければならない。また、母子自立支援大綱や年金制度、生活保護制度、医療制度の改革など、国の施策の動きについてもしっかり学習をし、敏感に的確に対応しなければならない。
 さらに、部落差別と同時に女性差別にもしっかりと視点を置いたとりくみが重要だ。女性差別は男性の意識の問題だけではなく、女性の意識のなかにも存在している。みずからの意識の克服も大切だ。
 さらに、男女平等の社会実現に向けた重要な課題として、「男女共同参画社会基本法」のとりくみがある。「男女共同参画社会基本法」の積極面を活用し、私たちの住んでいる自治体ごとに被差別女性をはじめとしたマイノリティ女性の視点をふまえたより具体的な内容の「男女平等条例」をつくる必要がある。
 また、女性の闘いを強化するためにも、変革の時代に敏感に対応する運動の展開と組織強化にとりくみ、都府県連・各支部で、女性のあらゆる場での参画、そしてなによりも、次代を担う人材育成をすすめていくことが必要だ。第48回全国女性集会では、こうした多くの課題について、地域での実践をもとに論議を深めていこう。
 部落解放運動の闘いを大きく前進させるためにも、女性部の組織強化は重要な課題である。女性部が各級機関の方針を決定する場に参加しうる力量をしっかりと身につけ、男女平等社会の確立、人権社会の実現に向けてともに奮闘しよう。

 


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