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有事法制とイラク攻撃
を断固阻止していこう

 小泉内閣は、有事関連三法案を今通常国会で何としても成立させると意気ごんでいる。昨年の通常国会では、これらの法案の問題点が厳しく批判され、継続審議となった。しかし、今通常国会で出される内容も大きく変わらないとみられる。さらに、関連する「国民保護法制」なるものも出されてくるようだが、名前とは逆に、内容は国民の権利と自由の制限だという。このような法律は、戦前の「国民総動員法」とまったく同じではないか。
 よく考えてみよう。先の戦争のときに国民は保護されただろうか。実態は誰もが知っているとおり、多大な犠牲者をだし、民間人も戦争に動員されたのである。政府は「国民を避難・誘導する」というが、日本が攻撃されるような戦争が、かりにあったとしても、だれがどこに避難できるのか。何の具体性もないし、具体的に示すことはできないだろう。
 「国民保護法制」の「国民保護」の内容に期待する人がいたならば、とんでもない勘違いである。じっさいに効力を発揮するのは、罰則付きの「国民の権利制限」の内容であり、狙いは「国民総動員」だからだ。
 有事関連三法案の問題点については、以前の「主張」(昨年六月十日・二〇七二号)で指摘したとおりであるが、「国民保護法制」を含めて成立を阻止し、廃案にもちこまなくてはならない。

 いっぼう、アメリカによるイラク攻撃がはじまる危険性が高まっている。攻撃の名目は、大量破壊兵器を「無法者の独裁国家」がもつことは脅威であり、大量破壊兵器がテロ組織に渡る危険性が高いとして、それを防ぐには「武力行使」「先制攻撃」しかないというのである。
 一月二十七日にだされた国連査察団の報告によれば、イラクの核兵器開発や生物化学兵器保有の疑惑は拭い去れないが、これらの大量破壊兵器は現在のところ見つかっていないとのことである。そして、国連査察団は査察の継続を主張している。これを支持する国のなかにも、アメリカの先制攻撃に反対する国が多い。
 武力行使に反対する民衆のデモや行動は、アメリカ国内も含め、各国で広がりをみせている。「先制攻撃」を正当化するブッシュ政権こそが世界の脅威だ、という声さえ広がっている。
 われわれは、どの国の核兵器であれ、生物化学兵器であれ、廃絶すべきだと考える。また、人権抑圧をおこなう独裁国家には反対である。しかし、ブッシュ政権が主張するように、脅威を排除するためとして「先制攻撃」「武力行使」が正当化されれば、国連を軸に国際法によって平和をめざして協調してきた国際秩序は崩壊しかねない。そして、二一世紀は「力こそ正義」という論理がはびこり、武力行使とテロという暴力の連鎖の時代、テロ防止に名を借りた人権抑圧社会になる危険性もある。このようなことを許せば、人権の二一世紀を実現することはできない。

 小泉首相は、ブッシュ政権の先制攻撃戦略について昨年・二月の党首討論で、「先制攻撃がなされていない段階で判断はさしひかえたい」と回答拒否をした。しかし、インド洋にイージス艦を派遣したことは、ブッシュ政権の対応を支持していることになるだろう。
 このような小泉内閣の姿勢は、脅威が迫れば先制攻撃を含めて戦争をできる国にしようと、有事法制成立を強行しようとしていることと結びついている。この姿勢を厳しく批判していかなければならない。
 戦争体制をつくっていくことは、人権抑圧体制をつくっていくことである。一月中旬にひきつづき、二月中旬にはアメリカをはじめ各国で反戦デモが計画され、十九日には東京で集会がひらかれ、全国各地でも行動が計画されている。一人ひとりの行動が戦争を止めていくことを肝に銘じ、有事関連法案の廃案、イラクへの先制攻撃反対の行動に参加していこう。

 


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