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住民参加でまちづくり
「浸水のまち」から「親水のまち」へ
ワークショップ積み重ねて
「解放新聞」(2003.03.24-2112)

 

 【滋賀】“「浸水のまち」から「親水のまち」へ”と生まれ変わった滋賀県栗東市の十里地区。その小規模住宅地区改良事業の竣工式が三月五日、地区内のふれあい公園でおこなわれ、地元住民、十里まちづくり事業推進委員会、行政関係者など百人が出席し、完成を祝いあった。

栗東市十里で竣工式

 竣工式には中央本部から組坂委員長が出席。「つぎはぎの改良」ではなく、抜本的な改良をしないと悔いを残すと、まちづくり事業推進委員会を設立し、「住環境の全面改善」と「福祉と人権のまちづくり」を柱とし、地域住民、行政がパートナーシップでとりくみ、成功させたことに思いを寄せながら、「これからは、ここが先進地」と、さらに人権のまちづくりをすすめていくよう激励した。
 十里地区は七十世帯強。梅雨や台風時、地区内の河川があふれ、すり鉢状に低くなった中心部に流れこみ、床下浸水が額発していた。また、狭い道路、住宅の密集・老朽化など、地区全体の抜本的な改善が求められていた。
 九七年一月に十里地域まちづくり事業推進委員会を設立、五月に住民総会、六月に住民意向調査、八月に三回のワークショップをもつなど住民の意見を集約。九八年三月に「小規模住宅地区改良事業」が採択された。九八、九九年にも、改良住宅、公園づくりのワークショップを重ねるなかで九九年十月に工事に着工した。
 住環境では、「公園を囲む緑の住宅地を創造する十里まちづくり協定を結び、宅地の周囲は生垣、高さ制限や、公園・緑地の自主管理などを申しあわせ、改良住宅と個人住宅を混在させ、緑道でつないだ。地区中央部には、歩行者優先の十二メートル「コミュニティ道路」を通し、湧き水による「せせらぎ空間」をふくむ「ふれあい公園」を整備し、その中に調整池も配置した。
 竣工式では、市長、まちづくり委員会会長など十人で記念碑を除幕。式後、十里老人憩いの家で祝賀会をおこなった。
 囲松正一・栗東市長は、住民参加とパートナーシップで、ふる里に誇りと活力をとの地域の思いが実を結んだものとふり返りながら、差別のない地域社会をめざすと表明。井之口清治・まちづくり委員会会長は、熱い思いでとりくみ始めたが、本当にできるのかという不安もあった。不良住宅の判定が六割にもなり、複雑な思いをいだいたことなどを語り、自分たちのまちは自分たちの手でと、ワークショップを重ね、安全で住みよいまちづくりをとみんなの意見を反映させたまちができた。しかし部落差別をなくす課題が残っており、今後、人権の発信地として新たなまちづくりをめざす決意を表明した。


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