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秋の臨時国会に向け、「人権
擁護法案」の抜本修正に全力を
「解放新聞」(2003.09.08-2135)

 

 さきの第156通常国会で、「人権擁護法案」は3回目の継続審議となり、予定されている秋の臨時国会で4度審議されることになった。
 昨年の2回の国会では政府・与党が原案成立の強硬姿勢であったのにたいし、この国会での特徴は、野党3党協議による統一修正対案として「国内独立人権機関のあり方について」の合意(7月14日)がかちとられるとともに、与野党修正協議が2度にわたっておこなわれたことである。
 このことは、「人権擁護法案」の抜本修正に向けて政治責任にもとづく政治決着のための「場作り」という条件が整ったことを意味している。
 しかし、問題は、抜本修正への「場作り」は整ったが、「合意内容」がどの段階まできているかということである。確かに、①「人権擁護法案」は大事な法案であり②政府原案には問題があり修正が必要である、との合意はあるものの、修正への核心的な問題については、与野党間に依然として大きな隔たりがあることは否めない。
 核心的な問題とは、人権委員会の独立性にかかわる法務省所管替え問題と実効性にかかわる地方人権委員会設置問題である。これらの問題は、秋の臨時国会に向けて国会開会中も継続して与野党協議の場で議論していくことが確認されている。

 臨時国会の開会時期は、9月20日の自民党総裁選挙後の下旬になるとの見通しである。この臨時国会は、「テロ特措法」をめぐる審議が中心となる予定であり、解散-総選挙の政局がらみの運営になることは必至である。
 したがって、臨時国会開会までに与野党協議の促進をはかりながら、臨時国会での早い時期に抜本修正をかちとった「人権擁護法案」の成立をはかるとりくみをすすめることが重要である。
 同時に、万が一にも抜本修正への与野党合意が得られないままに、国会解散がなされた場合は、「人権擁護法案」は自動廃案になるという事態も想定し、人権侵害救済のための国内人権機関としての「人権委員会」創設への粘り強いとりくみを継続していく周到なとりくみも必要である。
 いずれにしても、来るべき臨時国会は、「人権擁護法案」の抜本修正をかちとるか、それとも廃案になるかの最期の決戦場であることをふまえ、日本での人権の法制度確立への礎となる「人権委員会」創設への不退転のたたかいを展開しなければならない。

 今後のとりくみ課題として、つぎの4点を提起したい。まず第1に、与野党協議の促進である。ここでの合意内容の前進が、抜本修正への鍵である。
 第2に、臨時国会でのとりくみとして、9月30日午前10時から星陵会館で中央集会をもち、各党・各議員への要請行動を実施する。同時に、中央実行委員会の各構成団体や地方実行委員会ごとに独自の院内集会や要請行動を間断なく実施していく。
 第3に、地方自治体にたいするとりくみを強化し、「地方人権委員会」設置の必要性への気運を盛り上げていく。すでに、鳥取県や大阪府で、地方人権委員会設置への庁内検討会議が設置されており、このとりくみを各地方自治体でのとりくみに拡大していくことが重要である。これはまた、1600をこえる地方自治体で制定されている「差別撤廃・人権確立の条例・宣言」の具体化のとりくみでもある。
 第4に、「人権委員会」創設に向けて院内外の共闘体制の再編強化のとりくみである。これは、超党派の「人権議員連盟」(仮称)を再編し政治勢力の形成をはかっていくことであり、「人権委員会」の創設を求める各界連絡会議を立ち上げるとともに国際的な世論形成をしていくとりくみである。
 われわれは、「人権擁護法案」の抜本修正に向けて、秋の臨時国会闘争に全力をあげるとともに、その結果がどのようなものになろうとも、必ずやすべての人の人権侵害救済に役立つパリ原則に則った「人権委員会」の創設をかちとるために、広範な人びとと連帯して粘り強いたたかいを継続していくものである。


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