pagetop
   

 

 

背景の掘り下げ求める
読売新聞記者の差別書きこみで
第2会糾弾会

「解放新聞」(2003.12.08-2148)

 

 【兵庫】読売新聞記者による高砂市インターネット掲示板差別書きこみ事件(2134号既報)の第2回糾弾会を11月17日午後、兵庫人権会館でおこない、差別書きこみという「世間への同調行動」をひきおこしたのは、差別意識のみならず、取材にたいする姿勢そのものにも問題があったことなどが明らかになった。このため、記者本人もふくめ背景を掘りさげ、今後のとりくみ課題を補強していくことを前提に、糾弾会という形式はこれで終わり、今後のとりくみを見守ることになった。
 読売新聞大阪本社の河内鏡太郎・取締役編集局長は、「糾弾会で提起されたことは取材をどう考えているのかという、原点にかかわる問題。事実があるのは現場であり、多くの人の話を聞き、裏打ちされたもので記事がつくられなければならない。インターネット時代で(同調書きこみで情報を収集しようとしたことの背景には)現場をおろそかにしてきたことがあるのではないかと思う。こうした取材のあり方は、彼個人だけではないかもしれず、2度とおこさぬよう、万全の対策をとり、1000万部読者の信頼に応える体制をつくりたい」と決意を表明した。

読売新聞社「再発防止に全力」
「取材方法不適切で差別助長」と記者が謝罪

 糾弾会(11月17日)に出席したのは、読売新聞大阪本社の河内鏡太郎・取締役編集局長、恒川敏明・総務局次長など6人と差別書きこみをおこなった記者本人。部落解放同盟からは、松岡書記長、北口人権対策部長(中執)、兵庫県連の前田栄一・委員長代行はじめ28人が参加した。
 読売新聞社からの冒頭あいさつでは河内編集局長が「断じて許されぬ部落差別であり、84年に社長を責任者とした人権委員会を設置し、00年には読売新聞記者報道規範も設定し、とりくみをすすめてきた。しかしあってはならないことがおこり、深く反省している。あらためて会社あげて人権意識を徹底する。人権教育も大幅に見直しした。再発防止に命がけであたり、差別に鋭敏に反応し立ち向かう記者を一人でも多く生みだしたい」と表明した。
 部落解放同盟から、記者本人の反省文について、新聞社としてのこれまでのとりくみ総括と今後の方向、社内研修の推進体制と推進計画などの課題を示した。
 まず記者本人から、反省文「差別問題と私」を説明。「掲示板」の文書に含まれた差別表現の意味の重大性に気づかず、差別を助長してしまったことを謝罪。「掲示板」で記者であることを明かさず、差別表現をする発信者におもねるような書き方で情報を集めようとしたことも取材方法として不適切であり、許される行為ではなかった。差別の撤廃をめざして仕事にうちこみ、生きていくことを表明した。
 つづいて読売新聞社としての回答がおこなわれ、組織の末端まで人権意識の向上をはかるため、各部の次長、総支局長を人権委の職場委員とし従来の23人構成に68人を加えたこと。研修の充実と現地研修会の計画などを示した。
 糾弾会では、記者本人が部落にマイナスイメージをもった経緯をあらためて追及、「取材での聞きこみなどでの雑談」などをあげ、そのつみ重ねでと回答。そのさい、聞きながしたりし、同調行動をとっていたことも判明。本人には、なぜ同調行動をとったのかを反省文などで掘り下げるよう求めた。また、予断と偏見のフィルターをかぶった情報をもとに判断するなど事実のつかみ方にも問題があることも指摘、本人とあわせ読売新聞社としての課題とするよう提起した。
 糾弾会は今回で終了し、今後のとりくみを見守ることとした。

〈事件の概要)
02年7月、兵庫県高砂市のインターネット掲示板に、実在の市会議員を名指しして「部落民のくせに。(中略)ぼけ!」との差別書きこみがされた。翌日、その書きこみを引用し「当該の議員は評判悪いよね」と書きこまれる。後日、翌日の書きこみを読売新聞社の記者がしていたことが判明した。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)