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イラク刑務所内での虐待・拷問と
ファルージャでの虐殺に抗議し、
自衛隊の即時撤兵を求める

 

 米英軍がイラク刑務所内で日常的に虐待・拷問・虐殺をおこなっていたことに部落解放同盟中央本部は、5月14日、組坂繁之委員長名で、これら虐待・拷問・虐殺に強く抗議し、占領軍の撤退を求める声明を発表した。

 イラクの暫定占領当局(CPA)管理下にある刑務所で、米英軍がおこなっていた拷問と虐待を示す映像は、世界中に衝撃と批判をよびおこしている。
 バグダッド西方の旧アブグレイブ刑務所では、米軍の内部報告でも、裸にし数日間放置、殴打・けるなどの暴行、いすやほうきで殴打、軍用犬をけしかける、犬の首輪をつけた男性の前で女性米兵が写真撮影、拳銃で威嚇、裸の拘留者に冷水をかける、肛門に蛍光スティックやほうきを挿入などのほか、レイプなどさまざまな性的拷問が示されている。いずれも、拘留者を精神的、肉体的に執拗に虐げる、人間の尊厳そのものを奪うものだ。げんに、虐待を示す写真は1000枚以上あるといわれ、その一部がマスメディアで公表されている。
 CPAが、虐待や拷問によって、イラク民衆に恐怖感を植え付け、そのことで支配を容易にしようと考えているなら、それはすでに破産している。逆にイラク民衆の反感と抵抗を強めることにしかならないことを知るべきである。
 このアブグレイブ刑務所には8500人以上の拘留者がいる。多くはテロリスト容疑とされているが、無差別に拘禁され、家族や弁
護士にも面会を許されていない。
 また、イラク内の各刑務所での、殴られ、電気ショックをかけられ、足からつるされ、性器を縛られ、睡眠しないように強要、炎天下に長時間さらす、鍵をかけてコンテナに閉じこめる、長時間ずきんをかぶらせた後に強い光にさらす、などの拷問の実能を、この間、国際赤十字やアムネステイは報告してきたが、無祝されてきた。
 こうした虐待は、明らかに戦争捕虜の待遇を定めたジュネーブ条約違反である。真相調査とその結果の公表が必要である。また、赤十字報告の無視とともに、米英の責任は国際的に厳しく追及される必要がある。
 そもそもイラクへの米英による攻撃―戦争そのものが、大義のないものであり、石油利権の争奪を背景にしたものであることが、国際的にも明らかになっている。戦争から1年、イラク民衆のCPAへの抵抗はますます強固なものとなっている。とくにバグダッド北西部の30万人の都市ファルージャでは、「抵抗する武装勢力」掃討を口実に、都市そのものを米軍が包囲し、無差別に爆弾を落とし、狙撃兵を配置し、民家を襲い民間人を射殺するなど、700人以上がこの1か月間で虐殺された。まさに、ベトナム戦争のソンミ村虐殺事件を連想させ、現代のホロコーストともいうべき現実がつくられているのだ。
 「非戦闘地帯」での「人道支援」を口実に自衛隊を派兵しながら、人道的なNGO活動家が人質にされるや「反日だ」などと宣伝し、政府責任を果たさずに「自己責任」だけを強調し、イラクでのさまざまな実態を知りながら、アメリカ・ブッシュ政権に追随し、いまだに米英の戦争政策を支援しつづける日本政府・小泉政権の道義的、政治的責任も大きく問われなければならない。
 いまこそ私たちは「戦争は最大の差別であり人権侵害である」と強調した松本治一郎先生の言葉を思い起こして胸に刻み、イラクからの米英軍なビ占領軍の撤退、自衛隊の即時撤退を強く求めるものである。

2004年5月14日
部落解放同盟中央本部
執行委員長 組坂 繁之

 

 

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