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石川一雄さんのメッセージ
「解放新聞」(2004.02.16-2157)

 

 2004年の決意をこめて、石川一雄さんのメッセージを掲載する。特別抗告審の闘い、証拠開示のルール化の闘いが重要なヤマ場をむかえている。1月23日~2月23日を狭山闘争強化月間として、学習会や街頭宣伝、最高裁・最高検にたいする要請ハガキ運動など各地でとりくみを強化しよう。

各地のとりくみに向け決意をこめて

 石川一雄の心情をくみ、心を一つに差別裁判糾弾を貫き、狭山再審実現を目指して懸命に闘ってくださっておられる全国支援者に心からの感謝と本年度の私の決意の程を表しておきたいと思います。私自身は、再審開始の「法廷」闘争を前提に準備万端で待ち望んでいるものの、要は最高裁判所が、どの様な判断を下すかに私の命がかかっているんです。元より、皆さんも其の思いが強いが故に最高裁、最高検への要請行動を果敢に闘って下さっておられるのであり、其れ等の闘いに対し、何時も感謝しつつ、支援者各位のご尽力に私達夫婦も後押しされて不屈に訴え活動に取り組んでいるんですが、支援者を前に言及する迄もなく、再審を開始するのに充分な証拠、新鑑定書等が提出されているにも拘わらず、未だに最高裁が結論を出さないことに対し、常に疑問を持ち乍ら日日を送って居るのも事実です。確かに今までの事例からみると、再審の壁は高く、又厚いだけに、高木・高橋の不当な棄却決定に因って、再審が否定されて終った今、新証拠が決定的な鍵となってくるので、四十一年前の事件を掘り起こし、新証拠を探し求めるのは、大変困難で「不可能」といっても過言でないとすれば、では新証拠を何処に求めるかと申せば、其れは今現在も隠し持ってる検察庁以外にないわけです。多分検察には、事件当時収集した膨大な「資料」の中に、私の無実を証明する証拠、又は決定的に有利な証拠が存在する筈です。
 そんな訳で、検察庁は未開示証拠が二~三メートルあると認める一方、最低限の証拠リストすら見せようとしないのです。この辺の事は以前触れたことがありましたが、証拠は、検察側の私有物ではなく、国民の物であり、事実の解明の為に情報公開がなされて当然な筈と思います。然も検察が自信をもって私を「犯人」と言うのであれば、なおさら、全証拠を開示しても、何ら差し支えない筈なので、私は支援者皆さんに声を大に訴えたいのは、検察に対して、「狭山事件」の全証拠を開示するか、せめてリストを開示させる様に運動を展開して頂きたいのです。無実であるにも拘わらず、四十一年も「殺人犯」の汚名を着せられて居る、此の私の無念の思いを晴らす途は、再審開始を勝取る以外にありませんが、「白」「黒」をはっきりさせると同時に四十一年前の事件発生当時の狭山警察は、どの様な捜査がされていたかを知る上で、未開示証拠を絶対に開示させる必要があります。他の再審事件でも、隠された証拠が開示されて、重要な新証拠の発見に繋がり、再審開始、無罪判決の決定的な鍵となっていますので、ぜひとも此の点をご理解頂いて、検察に要請行動を起こしていただきたいと願う次第であります。
 もとより、今迄の証拠、新鑑定書等々から、是迄の判決や決定の矛盾は明らかなことから、最高裁判所が誠意をもって精査されるならば、必ず高木・高橋決定の過ちを糾すべく、東京高裁に差し戻す以外にない筈ですが、検察庁の体質を徹底的に糾弾することをはじめ、最高裁に対しては、司法の最高機関として、責任の所在を明らかにするためにも、即座に差し戻しをするよう強く求め、一日も早く冤罪が晴れるようにお力添えを賜りたく、心からお願いするものです。
 四十一年に及ぶ狭山裁判の歴史は、裁判所に因る差別裁判の歴史であり、それを糾弾する闘いの歴史でもあります。事実調べが始まれば、当然の事乍ら、部落民の私を「有罪」としてきた虚構が音をたてて崩れ落ち、権力犯罪の恐ろしさが、全国民の前に明らかになりますので、此処に再度可能な限り、ご尽力下さいますようお願い申し上げて、今年度の私の闘う決意の程とします。

二〇〇四年一月二十二日

石川一雄

狭山再審闘争支援者各位様


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