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「人権侵害救済法」早期制定へ
の本格的な闘いを開始しよう
「解放新聞」(2004.08.23-2182)

 

 「解放の議席」を見事に回復させた松岡参議院選挙で、われわれは国政での人権の総合政策確立に向けて、「人権立国ニッポン」を実現するために「12の人権政策」(人権マニュフエスト)を押し出して闘いをすすめてきた。
 「人権侵害救済法」の早期制定は、そのなかの重要政策であり、いよいよ秋の臨時国会で本格的な論議を仕掛けていく段階にはいっており、周到なとりくみを開始しなければならない。
 昨年の10月10日に臨時国会での衆議院解散によって、「人権擁護法案」が自然廃案になったことは周知のとおりである。われわれは、ただちに「廃案」を乗り越え、「人権擁護法案」の抜本修正を求めてきた経過をふまえながら、「3つの責任」(政府責任・政治責任・国際責任)を明確にして、人権侵害救済に関する新規立法の制定を求めるとりくみをおこなってきた。
 とりわけ、政府・与党が新規立法への姿勢を示さない状況を打開するために、本年2月24日に部落解放・人権政策確立要求中央実行委員会の名で「人権侵害救済法案要綱」(試案)を公表し、各界からの幅広い意見を求めるとともに、新規立法への政治勢力の形成や社会的世論の形成などの気運づくりを継続的におこなってきたところである。

 このような状況のもとで、政府・法務省は、5月下旬にメディア規制の削除・凍結など一部手直しをして、「人権擁護法案」を秋の臨時国会に再提出するという意向を、与党との十分な打ち合わせもないままに突如マスコミに発表した。さらに、参議院選挙後に直ちに与党各議員にその意向の根回し工作を開始していると仄聞している。
 われわれは、「人権擁護法案」の抜本修正にもとづく「人権侵害救済法案要綱」を試案としてすでに公表してきたが、法務省の再提出法案が新聞報道に見られるような「一部手直し」というような段階であるとするならば、断固として反対せざるを得ないのは当然である。法案審議を秋の臨時国会からおこなうという方向は大いに是認できるとしても、法案の中身については、これまでの「人権擁護法案」をめぐる4国会での論議を真撃にふまえ、「3つの責任」にもとづいて大胆に抜本修正されたものでなければならない。
 今や日本の「国づくり」に人権の確立は避けて通れない課題である。そのための大事な法案である人権侵害の救済に関する法律は、決して与野党の政争の具にされてはならないし、政府各省の省益の枠内にとどめてはならないことは、いうまでもない。国内外の経験と英知を結集して、政府・与野党・院外勢力が合窓できる国際的に胸を張れるようなパリ原則をふまえた法律に仕上げていくことが大事である。
 今秋の臨時璧試で新たに議論されるべき「人権侵害救済法」は、「人権擁護法案」の廃案にいたる経過で国内外の世論が求めた抜本修正の声と与野党議論の到達内容をふまえたものでなければならない。

 われわれは、人権侵害の救済に関する法律が日本にとって必要で重要な法案であるがゆえに、その早期制定を強く望んでいる。したがって、われわれ自身も、今秋期の臨時国会での法案審議と制定へのとりくみを仕掛けていくし、その準備をすでに開始している。
 8月9、10日にかけて、「人権侵害救済法案要綱」の最終版が、各界からの意見を集約して仕上げられた。この要綱をたたき台にして、国会で十分論議をしてもらい人権侵害の救済に関する法律制定を実現していくことが重要である。
 そのために、つぎのとりくみをおこなっていく。第1は、9月8日午後1時から人権侵害救済法の早期制定を求める「中央集会」を星陵会館で開催し、秋期臨時国会へのとりくみの意思統一をはかっていく。第2に、与野党の各政党にたいして、人権侵害救済法案の周知徹底と臨時国会での戦術論議のために、「政策懇談会」を要請していくとともに、超党派の「人権政策勉強会」(4月8日発足)の活発な活動を要請していく。第3に、法曹界やメディア界の各持体や人権諸団体に広範によびかけて、「人権侵害救済法案」の早期制定に向けた社会的な世論づくりをおこなっていく。第4に、地方実行委員会を中心に地方からのとりくみを強化して政府・各党への働きかけを徹底するとともに、地方自治体決議の追求もはかっていく。
 以上のようなとりくみを中心にしながら、秋期臨時国会で「人権侵害救済法」の早期制定をかちとっていく開いを強化していこう。


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