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部落問題資料室
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主張

 

部落解放へ全国各地で
人材育成にとりくもう
「解放新聞」(2005.6.06-2221)

 2005年は多くの面で節目の年である。戦後60年であり、部落解放同盟改称50年、同和対策審議会答申40年、「部落地名総鑑」差
別事件30年である。
 この間、部落解放運動は多くの成果をあげてきたが、1969年からつづいてきた「同和対策事業特別措置法」が2002年3月に失効し、部落解放運動も大きな転換期をむかえ、組織の弱体化の傾向が一部に見られる。この傾向は55年体制の一極であった労働組合などにも顕著にあらわれている。部落解放同盟とは敵対関係にある日本共産党にはよりいっそう顕著であり、選挙の時期に政治活動や選挙活動をしている人びとのなかに若者はほとんどいない。つまり日本共産党の組織活動を担う後継者が極端に少なく、先細り状況になっているのである。
 この傾向は私たち部落解放同盟にもいえる。これらの傾向に歯止めをかけるのは人材発掘と人材養成しかあり得ないが、人材育成は一朝一夕にはすすまない。人材育成のためには長期にわたる継続したとりくみが必要であり、そのための人材養成システムを構築しなければならない。
 組織の命運を決するのは人材である。諸改革を断行するときにも人材がその成否を決する。変革の時代といわれる今日、変化のスピードは急速であり、時代の流れを的確に把握し正確な判断をするためには有能な人材が欠かせない。正しく情報収集できる人材がいるのか、時代を読みとり正しく判断できる人材がいるのかによって、組織の命運は大きく左右される。部落解放連動をとりまくあらゆる分野で有能な人材が求められているのもそのためである。

 とくに戦略・ビジョンにマッチした技術をもった人材の養成が重要である。
 行政交渉や差別事件を分析し糾弾闘争を展開する技術、その前提としての相談や実態把握の技術、さらにそれらを分析し、課題を設定し政策化して実践する能力、そして効果測定などのノウハウの知識をもった人材が必要なのである。また、ネットワーク的運動の組織技術、情報機器を操作する技術、時代を認識し柔軟に政策化する技術などをもった人材が必要であり、人権確立や部落解放に情熱をもった人材が求められている。
 そのような人材の養成と結集ができれば、差別撤廃と人権社会システムの確立をめざす新たなステージでの部落解放連動の再生が間違いなく実現される。
 しかし、夢やビジョンのないところに人材は育たない。組織で夢や戦略が明確であり、それらの夢を実現していく当面の課題やプロセスが明確でなければ、組織に結集する構成員も成長しない。
 人材が育つ必要条件は、組織などの夢や目標(戦略)と、それを実現していく当面の課題やプロセスが明確であり、めざすべき人材モデルと人材養成方針、システム、手法などが確立されていることである。また育つ過程で「活躍できる場」があるのかということが重要なのである。「ポストが人を育てる」といわれるが、「活躍できる場」がなければ、人材は育たず、有能な人材も結集しない。人材は座学だけでは育たない。実践のなかで育つ。自身の夢が実現できるような「組織」と「活躍できる場」があれば、有能な人材は自然と集まってくる。

 さらに、「活躍できる場」とともに、自身の仕事や活動にたいする正当な評価がなくては人材は育たず、有能な人材も集まらない。自身が努力すればそれに見合う評価があることが明確であれば、多くの困難も克服できる。
 たとえば自身がその活動や仕事をとおして成長することができたかどうかということも重要である。人びとは自身が成長できる組織に集まるし、そこで活動をつづけようとする。その機関で活動することが、知識を深め自身の成長につながり、さらに飛躍するステップになるような機関には人材が集まる。
 また、その機関で活動することが自身の評価を上げ、自身の人的・組織的ネットワークを広げることにつながれば、少ない経済的報酬でも多くの応募者が押し寄せることは多くの事例が示している。金銭では獲得することができない成果であり、仲間からの高い評価・承認はその人の成長意欲をさらに刺激する。
 これらの条件を備えた人材養成システムを各地で創りあげることが求められている。大阪ではその具体的実践として「21世紀人権政経塾」が開塾され、全国から塾生を迎えようとしている。
 今一度、現在の限られたパワーで人材の養成と結集に向けて何ができるかを考え、実践することが焦眉の課題であることを強く訴えたい。

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