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部落問題資料室
NEWS & 主張
産する鉄と銀は古代から重要資源
山陰で調査とシンポ
全国大学同和教育研究協議会が
伯者地方の周縁の民で
「解放新聞」(2005.12.12-2248)

 全国大学同和教育研究協議会(門田秀夫・会長)は11月12、13日、鳥取県米子市でシンポジウムと現地調査をおこなった。テーマは「伯香地方における 周縁の民」。1日目が米子文化ホールでシンポジウム、2日目は現地調査。また、1日目に野坂康夫・米子市長が祝辞をのべた。

93年いらい毎年つづけ
部落差別の歴史を研究

 1日目は3人が発題した。基調報告として沖浦和光(桃山学院大学名誉教授)さんが「山陰地方の周縁の民をめぐって」と題して報告し、「伯者地方における「鉢屋」の歴史」を西村芳将さんが報告し、鳥取県における部落解放運動の現状と展望」を鳥取県連の椋田昇一さんが報告した。2日目には「鉢屋」が信仰した寺などを視察した。
 このとりくみは、93年以来現地調査とシンポジウムを毎年開催するなかで「部落差別の歴史と現状」のテーマの研究を重ねてきた。今回開催される場所は、古代律令制でいう「五畿七道」のうち「山陰道」のなかの伯耆国。古くから「山の民」と「川の民」の生活の場であり、中国山地で産する鉄と銀は古代から重要資源の土地でもあった。この地域の近世購民制は「エタ」「非人」「雑種賎民「鉢屋」」という分類で確立され、その
時期は1617年に池田光政が姫路から転封されこの地を支配してからのことである。この地には、「鉢屋」などと俗称された半俗半僧の賤視された集団が多く住んでおり、伯著・出雲・石見に色濃く分布していた。
 こうした「雑種購民」の存在は、部落問題研究自体が「エタ」およぴ「非人」研究に集約されてきた。また、水平社などの運動団体による組織化も地域によって温度差を生んでいた。
 沖浦さんは、「これらは、すべて柳田民俗学が先鞭をつけてきた研究領域だが発展させることなく今日に来た」とのべ、壮大な沖浦ワールドともいえる学問体系のなかで、その躍動する賤民群像の実像に迫るとりくみがつづけられてきた。
 沖浦さんは、「周縁の民」を「支配体制の中心的権力から疎外されて、その外縁部に位置づけられている民を指す」とのべ、「身分制では低位に置かれているので、「辺界の民」とよばれることもあ」り、「平人(平民)として編籍されなかった人」たちと規定した。
 また、律令の身分制では、(貴・良・賤)の三層に大別され「周縁の民」は、〈賤〉とされた身分と良・賤のいずれにも分類できぬ山の民・海の民などの集団もふくまれるとのべ、近世身分制社会では、「周縁の民」とは①「エタ」②「非人」③「雑賤民」④「その他」が含まれるとした。起源やたどった歴史、社会でどのような集団と見なされたのか、地域性が色濃く投影されており、綿密な地域資料の発掘と他地方との制度比較の研究が必要だとのべた。
 西村さんは、鳥取藩の賤民政策、因幡と伯著の違いについて、1864年の資料によれば、伯著ではエタ身分の戸数が因幡のほぼ半数。逆に鉢屋の人数は6倍もおり、非人はゼロ。また、鉢屋の役は牢番や不審者の探索などだった、とのべた。生業、差別実態については、身分内結婚がつづき、今日でも差別があるとのべた。また、空也堂の布教活動と鉢屋集団が信仰した転法輪寺に伝わる空也信仰についてのべるとともに、「鉢屋」が「エタ」に斃牛馬の処理権益を渡さなかった事実などを報告した。
 そのほか、部落史の見直しと同和教育の行方について提起し、こうした歴史的事実をどのように学校教育の中で生かしていくのか、多様な社会の存在を教えていくべきだとのべた。

鳥取の運動の現状と展望も

 椋田さんは「鳥取県における部落解放運動の現状と展望」について報告した。鳥取県の運動の特徴として、水平社が3つ結成されたが、全県的な動きにはならなかった。戦後の運動の結成には、賤前の融和団体の参加者が多く、本格的な運動の開始は1950年の差別発言糾弾闘争であった。50年代には、山林解放闘争が闘われ、差別にたいして闘う勇気と連動の必要さを獲得していったとのベた。また、72年には全日本同和会と組織統一をおこない、全県で運動体が1つになったことも特徴としてあげた。
 96年に鳥取県人権尊重の社会づくり条例の制定や97年には、「今後の同和行政の基本方針」が策定され、「鳥取県人権救済条例」に結びつく闘いがつづけられた。今後、どのような闘いの展望をもっていくのか、運動自体が問われているとのべた。

 来年は、11月3~5日、新潟県佐渡市で開催する。


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