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部落問題資料室
NEWS & 主張

削除の判断基準示せ
インターネット差別書き込みで
法務局と話し合い

「解放新聞」(2007.03.05-2309)
 【栃木支局】県連は、06年11月17日、宇都宮地方法務局を訪れ、「小山の○○地区は、部○出身が多いらしいよ」「○○は同和」などインターネット電子掲示板「2ちゃんねる」上に小山市内の被差別部落出身者の名字、地区名の差別書き込みがあり、小山市が削除要請をおこなったものの同法務局が「伏字や隠語を用いた表現だから断定できないので削除しない」とした見解(2290号既報、そののち上級庁の指導で削除)で、差別煽動を放置したことについて話し合いをおこない、県連から事前に提出していた4項目の質問には別項の通り回答(見解)した。
 話し合いは、県連から和田献一・委員長、谷田孝紀・書記長ら4人が、同法務局からは大村洸一・人権擁護課長ら2人が出席した。
 内容は、小山市から削除依頼を受けた当初の見解(06年7月7日)と上級庁から指導を受け、書き込み内容の差別性を確認し削除をした経過、同法務局の差別書き込みか否かの判断基準などを話し合った。
 和田県連委員長は、「「部落地名総鑑」は名字と地名が記載されていたが、こうした個別の書き込みが連携して新たな電子掲示板上の「部落地名総鑑」の形成につながる危険な書き込みで、地名や名字の書き込みを厳しく監視していくことが大切。現行法では、法務局のみが削除できるが、地方自治体レベルまで範囲を広げるべきだ」と訴えた。
 この間題は、06年11月7日、第165臨時国会法務委員会でも議論され、長勢甚遠・法務大臣が「判断が不適切であり是正させた。ネット上に流通する特定の地域を同和地域であるなどと摘示する書き込みは、同和地区出身者にたいする差別的取り扱いを助長、誘発するものであり、人権擁護上看過できないもので、厳正に対処する」と回答していた。(2296号既報)

質問事項と法務局見解
①06年7月7日同法務局栃木支局見解の経緯
 法務局・伏字や隠語で書き込まれているので、特定の地域を適示しているとはいい切れないため削除しないと同法務局で判断した。
 ②その後の差別書き込みの削除にいたる経過
 法務局・①で上級庁(法務省人権擁護局、東京法務局)から指導を受け、インターネット上に流通する特定の地域を同和地区と適示する書き込みは、出身者にたいする差別的取り扱いを助長、誘発すると理解し、削除依頼があったものもふくめ同様の書き込みも削除した。また、他の自治体からも削除要請があったものも同様に対処した。
 ③電子掲示板の差別書き込みを削除する判断基準
 法務局・特定の地域を指定して被差別部落と表現、また名字を指して被差別部落出身者との表現は、個人が特定できなくても差別書き込みとして判断し削除する。ただし、被差別部落にたいする誹誇中傷に関しては、今回は対象外であり、上級庁の判断が必要。
 ④「プロバイダ責任法」の問題点について
 法務局・現行法では、削除要請は第三者機関として法務局はおこなえるが、以外の地方自治体や団体などは一般の削除要請者扱いになるため容易にすすまず、書き込みが長時間放置される恐れもある。書き込みの数も膨大で、法務局のみでの対応にも限界がある。また、一般の削除要請の場合、プロバイダ、管理責任者から依頼者の情報が相手に告知される危険性があるため、監視、削除のできる第三者機関の幅を広げることがこのましい。

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