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声明

 

最高裁による袴田事件・特別抗告棄却決定に抗議する

 2008年3月24日付けで最高裁第2小法廷は、袴田事件の再審請求の特別抗告を棄却する決定をおこなった。私たちは、最高裁による抜き打ち的な不当決定に抗議する。
  最高裁は、弁護団が提出した確定判決に合理的疑いを生じさせる多くの新証拠について、事実調べをおこなうこともなくしりぞけている。「クリ小刀は凶器なのか」との疑問についても弁護団は新証拠を提出していたがまったく答えていない。
  袴田さんの「自白」の疑問についても最高裁はまったく判断していない。最高裁は自白は有罪証拠となっていないかのように言うがこれはごまかしである。この間、虚偽の自白による冤罪が数々明らかになった。袴田さんも私たちが支援する狭山事件の石川一雄さんも、これら無罪となった冤罪事件と同じように、警察の代用監獄という密室で、長期にわたって、長時間の取調べを受けて自白を強いられた冤罪である。裁判所に求められていることは、こうした警察の取調べの実態、虚偽自白によるでっちあげの現実にメスをいれることであるはずだ。しかし、最高裁の棄却決定にこうした視点をまったく見いだすことはできない。
  最高裁は「警察のねつ造をうかがわせるものはない」と弁護団の主張を切り捨てているが、この間の志布志事件や氷見事件では警察による人権無視の取調べとともに、調書のねつ造や無罪証拠隠し、裁判所による誤判も明らかになっている。国連拷問禁止委員会は昨年、日本における代用監獄、取調べの実態に強い懸念を表明し、取調べの可視化など司法改革を勧告した。また日本における自白にもとづく有罪判決の多さ、可視化されていない取調べによって得られた自白が裁判で証拠となっていることにも強い懸念を表明している。
  今回の最高裁の棄却決定は、虚偽自白や証拠ねつ造による冤罪の危険、可能性をまったく考慮することなく、結論ありきの姿勢で袴田さんと弁護団の長年にわたる無実の叫びをふみにじったものである。
  袴田さんの姉の秀子さんの真剣な訴え、ボクシング界からの真摯なアピール、1審を担当した元裁判官の「無罪の心証をもった」という発言、多くの市民の疑問に答えることなく再審の請求をしりぞけた最高裁の姿勢に強い憤りを感じる。
  私たちは、再審の門を閉ざす最高裁の袴田事件・棄却決定に抗議する。そして、狭山事件の再審実現にむけて全力を尽くすとともに、袴田さんの再審をはじめ、多くの冤罪との闘いと連帯し、取調べの全過程の可視化や公正な証拠開示の実現など司法民主化、人権確立を求めて、さらに幅広い運動をすすめることを表明する。

2008年3月25日
部落解放同盟中央本部

 

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