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部落問題資料室
NEWS & 主張
「同和地区なら開発中止」と
不動産業者が区役所に問い合わせ

「解放新聞」(2008.03.24-2362)

 【大阪支局】「同和地区であれば開発中止」と、土地売買をめぐって不動産業者が「同和地区かどうか」を区役所へ問い合わせる土地差別事件が発覚した。不動産売買で、日常的に現場での客からの同和地区か否かのと問い合わせが多くあるという。部落であろうとなかろうと調べて教えることが土地差別であり、部落差別である。2月21日に糾弾会をおこない、今後のとりくみを確認した。

根本的な反省糾弾会で確認
  事件と経過は、つぎのとおり。06年6月、大阪市内にあるH社の社員Bが、大阪市鶴見区役所に電話し、会社名と名前を告げ、「鶴見区〇〇一丁目が同和地区に含まれているかどうかを教えてもらいたい。当社で住宅開発を検討しており、万が一、同和地区であれば、開発中止も検討しなければならないので」と問い合わせた。
  その後、Bは大阪府と大阪市から「同和地区かどうかの問い合わせは、部落差別にあたる」と指摘を受け事情聴取を受けた。府連は、大阪府から、この土地差別事件の報告を受け、H社の代表、社員B、大阪府、大阪市の関係者と事実確認をおこない、本人の部落にたいするイメージや会社の対応について確認をおこなった。
  Bは、分譲マンションを建設するための物件を探していたところ、鶴見区で希望する物件が見つかり、公示価格、路線価格などを調べ、売値の見積もりが通常よりも1割安かった。客から安い理由を聞かれることを想定し、原因を把握しておく必要から、さらに調査をすすめた。土地評価が周辺より安ければ、駅からの利便性や騒音などの一般的な原因を調査する前に、まず部落かどうかを調査しているという。今回の物件は、それらの要因が把握できなかったため、鶴見区役所なら教えてくれるのではないかと思い、問い合わせたという。
  またBは、これまでの物件売買のさい、客から部落かどうかの問い合わせを何度か受けていたため、今回の「同和地区かどうか」の調査も当然のことと思っていた。Bは、みずからすすんで同和地区であると答えないが、客から執拗に問い詰められた場合は、仕方なく答えていたという。さらに、Bは小学校の頃から部落出身の友人がおり、今でもたまにあって話すことがあるが、部落問題については話したことはなく、今回の件も悪気はなかったという。
  BがH社の社長に大阪市から指摘を受けた経過を報告したさい、社長からは「先走ったことをしたな」といわれたという。BはH社入社後、人権研修を受けていない。
  2月21日の糾弾会では、H社長は、Bと同級生であり、同じ環境のなかで育ってきたのに、今回の件について「信じられない」「何故このようなことをしたのか」と何度もBに問い詰めたとのべている。そして「社員にたいして人権という人間の基本に関わる重要な課題について適切な指導ができていなかった。人権問題のとりくみがうわべだけのものだった」とのべた。
  Bの根本的な反省、会社の基本的な反省と研修体制の確立、社長みずからの宅地建物取引業人権推進指導員の資格取得など今後のとりくみに努力することを確認した。

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