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部落問題資料室
NEWS & 主張
問われる
企業の社会的責任
興味本位に繰り返し発言
業務中の差別で報告学習会

「解放新聞」(2008.05.26-2371)

 【滋賀支局】「二戸一があるところは同和地区」などのA株式会社従業員差別発言事件(別項)で4月22日、午後1時30分からは企業を対象にした報告学習会を栗東市ひだまりの家でひらき120人が参加。また午後7時30分からは市民を対象にした報告学習会を栗東市中央公民館でひらき350人が参加。報告会では、A株式会社をはじめ栗東市、県連の十里支部などから事件発生の状況や経過と今後の具体的なとりくみをふくめた見解を報告した。

 報告会では、A株式会社、栗東市、十里支部らから事件発生の状況やこれまでの経過と見解を報告した。
  栗東市は、「国が締結した国際人権規約や日本国憲法、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律、滋賀県人権尊重の社会づくり条例及び栗東市人権擁護に関する条例などにもとづき、行政の責務として部落問題の完全解決に向けとりくむ」と見解を示した。
  A株式会社は、①人権宣言をおこなう②社内人権・同和教育基本方針と実施要項の策定③社内人権・同和教育推進委員会の立ち上げ④研修プログラムと研修計画の策定など9つの具体的とりくみをふくめた見解を提出した。
  十里支部は「部落の実態や課題を放置したなかで隣保館運営や企業内同和教育、社会啓発がおこなわれてきた結果が今回の事件に凝縮してあらわれている。あらためて企業の社会的責任、同和問題解決のための行政の責務とは何かが問われている」とのべた。また、今回の差別発言を十里在住のBさんから問題提起された隣保館「ひだまりの家」がそのまま放置したことにたいしても「解放運動の拠点であり、部落解放運動と緊密な連携をはからなければならない隣保館が部落問題の本質と隣保館の使命をまったく理解できていなかったことは、断じて許されるべきものではなく、その責任は重大だ」と行政に強く訴えた。
  学習会は、解放社会学研究所の江嶋修作・所長が、企業対象では「「企業づくりは」「ひとづくり」」、市民対象では「当たり前のことを当たり前に~人権教育は誰のためにするのか」をテーマに講演。江嶋所長は、「人権教育は「誰かのためにおこなうのではなく自分のため」という意識を持つことが大切だ」と例や話をもちいて分かりやすく説明した。

【事件の概要】
 06年11月からA株式会社内で発生。同社の従業員B(栗東市十里在住)、C(栗東市内在住)、D(同)の3人が通常グループを作り業務にあたっている。
  その業務のなかで、CはBやDとのコミュニケーションをはかるつもりで「二戸一があるところは同和地区」「同和地区は家賃が安い」「栗東にも部落があるのか」などの発言を、インターネットから得た不正確な情報をもとに興味本位にBやDにくり返し発言し、部落にたいする差別意識や偏見を助長した。
  Cが発言を繰り返すなかで、十里在住のBは部落にたいする差別意識に憤りを感じるとともに、自身が住んでいる地域のことを知っての発言かと、強く不安を抱くようになった。
  BはCの発言をうけて十里に所在する隣保館「ひだまりの家」に相談する。しかし、ひだまりの家はその内容を十里支部や栗東市役所内の関係部署に報告せず、そのまま放置していた。
  07年2月、Cの発言から3か月悩んだ末にBがその旨を会社の上司に報告し、会社が栗東市役所に相談をしたことから事件が発覚したもの。

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