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部落問題資料室
NEWS & 主張
「同和地区かどうか」と
仲介業者が人権文化センターへ問い合わせ

「解放新聞」(2008.06.30-2376)

土地差別事件の糾弾会
部落の所在地情報のやりとり常態化か
  【大阪支局】「同和地区か、どうか」と06年4月、富田林市内のB病院に勤めるA研修医から、賃貸仲介業者C社の仲介で入居した物件が「同和地区ではないか」との抗議があったため、C社のT社員が富田林市人権文化センターに同和地区の所在地を問い合わせた差別事件にたいする糾弾会を6月3日、大阪人権センターでひらき、差別事件に関係するB病院と賃貸仲介業者C社らが出席し、事件の背景、差別性、問題点の共有化をはかり再発防止に向けてとりくんでいくことを確認した。

 糾弾会には、B病院関係者賃貸仲介業者C社、大阪府など関係行政が参加。府連からは谷川雅彦・書記次長、富田林支部の辰巳辰司・書記長らが出席。
  C社にたいしては、明らかになった事実関係から、同和地区を尋ねるという行為そのものが部落差別という認識が不十分であり、T社員のように一部の社員の間で仲介業務を通じて同和地区の所在地情報のやりとりが常態化している点を指摘。
  B病院にたいしては、患者と医師・看護師、また職員間での会話などを通じて同和地区にたいするマイナスイメージや忌避意識にかかわる情報が日常的にやりとりされていることの懸念を指摘した。
  今後のとりくみ課題として水面下で同和地区の所在地情報が日常的に行き来する不動産業界にたいしてのとりくみの抜本的強化、医師や看護師など専門職員にたいする同和問題啓発などの人権研修の充実などについて意見交換し確認した。

事件の概要と仲介業者の実態
 06年4月27日、賃貸仲介業者C社藤井寺店のT社員が、富田林市人権文化センターに、同和地区の所在地を教えてほしいと電話をかけた。翌日、同センターに来館したT社員から事情を聞くと、B病院のA研修医からC社の仲介で入居した物件が「同和地区ではないか」と抗議があったため調査していると答えた。
  A研修医に事情を求めると、4月に母親とC社藤井寺店を訪問しB病院近郊で「治安の悪いところ、川沿いは避け、間取りは1K」と要望し、○○町にある物件を紹介され、その日のうちに仮契約。その後、入居したA研修医は、B病院の複数の医師から「どこに住んで居るのか」と聞かれ、「○○町」と答えたさいの反応から「同和地区ではないか」との思いを募らせ、4月27日、C社丁社員に「同和地区ではないか。治安が悪いところは避けてほしいといったのに」と抗議したという。(A研修医は、昨年7月にひらいた富田林支部との確認会で事実を認めて謝罪)
一方、T社員はA研修医からの抗議電話に「△△町はそういうところですが、○○町は違います」と、同和地区の所在地を尋ねる行為が部落差別と気づくことなく対応。「慰謝料も請求したいくらいだ」とのA研修医の抗議に「こちらで調べます」と返答した。(T社員は06年5月に退職)
  その後、C社社員69人にたいしてのアンケート調査で「物件の所在地が同和地区かどうか調べることや教えることは差別にあたるか」との問いに「客に教えなければ差別にあたらない」「差別とは思わない」の回答が19人。「差別にあたると思う」が39人だった。また「同和地区かどうか調べたことがあるか」の問いでは18人が「ある」と回答し、その内訳は「同僚」8人、「インターネット」6人、「同業者」4人であった。このことから仲介業務を通じて、同和地区の所在地情報が水面下では日常的にやりとりされていることが明らかになった。

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