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部落解放同盟ガイド
見解

 

部落解放同盟福岡県連合会
部落解放同盟筑後地区協議会
「立花町連続差別ハガキ事件犯人逮捕」について
第1次見解とお詫び


 部落解放同盟福岡県連合会と同筑後地区協議会は、7月22日、連名で「「立花町連続差別ハガキ事件犯人逮捕」について―第1次見解とお詫び」を、福岡県連第60回定期大会の場で公表した。当日の運動方針案の説明のなかでも吉岡正博・県連書記長が、この見解を補充説明し、了承された。全文を掲載する。

真相究明に全力あげ、組織的な総括と再発防止策など明らかにする
  去る7月7日、私たちが5年8ヶ月の間、その真相究明にとりくんできた「立花町連続差別ハガキ事件」の「被害者」が、「自作自演」であったことを自白し、偽計業務妨害罪容疑で逮捕されました。
  私たちにとりましてもまさに晴天の霹靂であり、大きな衝撃と同時に、たとえようのない深い悲しみと満腔の憤りがこみあげてきました。
  これまでこの問題に多くの方々がかかわり、事件解決のために奔走してくださいました。また、各地でこの事件にかかわって、「当事者」である彼の訴えを聞かれた数知れぬ方々が心を痛め、励ましていただいたかを考えれば、当該県連・地協としても、誠に申し訳ない気持ちでいっぱいであり、この間、部落問題に心を寄せていただき、その解決にむけて汗を流してくださった多くの県民の方々にもあわせて、衷心より深くお詫び申し上げます。なにより、この「事件」を知り、一生懸命にこの問題を考えてくれた子どもたちや高校生のみなさんのことを思うと、まことに痛恨の極みであります。
  いまだ彼は拘留中であり、事件の全容、真相が解明されてはいませんので、それを受けての組織の総括を含めた「最終見解」は後日明らかにさせていただきますが、彼が自作自演であると自白したこと、そして逮捕されたということは事実であり、そのことが与える影響ははかりしれないものがありますし、また現段階では、自作自演した可能性は極めて強いと言わざるを得ません。そしてそうであるならば、まさに解放運動に対する重大な背信行為でしかありません。
  私たちの運動は、「人間を尊敬することによって自ら解放せんとする者の集団運動」として始まったはずであり、そのことを最も誇りに、かつ大切にしてきたつもりでありました。そして部落解放運動は、どんなに差別され、中傷され、迫害されようとも人間そのものを信じつづけてきましたし、「人間の尊厳」を大事にしてきた運動です。だからこそ、水平社結成以来80有余年の間、多くの人たちがその運動に共鳴し、連帯し、支援・激励してくださいました。
  確かに私たちはこれまで、差別とその結果としての貧困などにより、「犯罪に手を染めなければならないほど」に追い込まれた若者たちが存在する事実を知らないわけではありませんし、犯罪に走らせてしまう被差別の悲しさをいやというほど見てまいりました。
  だからといって「犯罪」を肯定するものでは断じてありませんし、反社会的な犯罪行為はたとえ被差別部落の兄弟姉妹であっても許すことはできないというのが私たちの基本的な姿勢であります。しかし今回の彼の行為は、そのような類の問題ではなく、まさに部落差別の存在に憤りを覚え、それを解決するために心を砕いてくださった多くの方々を裏切る行為であり、なによりも「祖先を辱め、人間を冒涜」する行為であります。このことは厳しく断罪されなければならないと思っています。
  同時に、今回の問題を厳しく、かつ重たく、真摯に受けとめ、今回の問題の真相究明に全力をあげるとともに、彼の行為を見抜けなかった私ども当該県連・地協としての組織的な総括と、再発防止のための今後の方向性などを整理し、明らかにしていくことを決意しております。
  2006年の関西における「一連の不祥事」を受けて、福岡県運としても全国的に展開された「組織点検・改革」運動の一環として、「組織点検改革アンケート調査」を、県内22地協に205項目、500余の支部に167項目もの調査をおこないました。その総括のなかでも、「同盟員教育が希薄になっている傾向がある」ことをはじめ、様々な課題が表面化し、その後、その改善に向けてのとりくみを展開してきました。しかし今回の問題で、そのとりくみが不徹底であったことが明らかになりました。
  今回の問題を引き起こした個人を生み出した組織的弱点を抉り出しながら、組織と運動の再生にむけて、重大な決意をもって臨んでいく所存であります。
  また、内部的な真剣な討議はもとより、第三者の有識者の方々に参加していただき、今回の問題や私どもの運動に対する率直な提言を出していただく場をつくり、その意見などを真摯に受けとめていきたいとも思っています。
  関係者の皆様には、今後とも私どもに率直なご意見をいただきますよう、心よりお願い申し上げます。
  今回の問題で、ご心配とご迷惑をおかけしました関係者の皆様をはじめ、立花町民、福岡県民、さらには全国の皆様に重ねて深くお詫びをし、当該県連・地協としての見解とさせていただきます。

2009年7月22日

 部落解放同盟福岡県連合会
 部落解放同盟筑後地区協議会

 なお、「一番の被害者」であろう家族の方々への配慮から、実名は控えさせていただいておりますことをご斟酌いただければ幸いです。

 

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