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部落問題資料室
部落解放同盟ガイド

 

石川さんメッセージ

冤罪が晴れないまま51年を迎えてしまい、然も昨年中には必ず再審が開始される筈と確信的な思いをメッセージに込めたのに、勝利処か再審開始の目処も立てられず、支援者各位を裏切ってしまったように思われ、大変申し訳ない気持ちで一杯です。

恐らく今日の不当逮捕糾弾51ヶ年決起集会にご参集された皆様も複雑な思いで参加された筈であり、それだけに私のペンも重く感じ、何をどう述べるべきか言葉が見つかりません。

元より一つには裁判官が代わったことも起因しているとしても、他の再審裁判では次々に再審無罪や、開始決定が出されている中、狭山だけがなかなか進まず、本審を申し立てて8年が経過しようとしているのに、未だ先の見通しも立てられず、焦らずにはおれません。

皆様もご承知の通り、第三次再審からの8年間だけでも無実を明らかにする決定的な証拠も提出されているのに、私には刑事裁判の鉄則が適用されないのかと、その様に考えてしまいます。法と正義を守るべき裁判所が「公正な裁判を受ける憲法上の権利」を奪う筈はないと信じつつ、毎日のように全国各地へ支援、要請のお願いに回っていても、胸中は複雑です。

言及するまでもなく、再審制度は「公正な裁判を受ける被告人の憲法上の権利に基礎を持ち、無辜の救済を目的とする人権擁護のための権利」という立場の上に成り立ち、そして「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則が適用されるものと「解すべき」という白鳥決定など、過去の再審裁判の判例を尊重する立場に立つならば、必然的に事実調べを行うという結論に達する筈なのに、未だに再審開始決定を出すことなく、時間だけがずるずると過ぎていきます。

6月には18回目の三者協議が予定されていますが、弁護団の努力の結果、寺尾の「確定有罪判決」の根拠として指摘された「物証」については悉く崩れています。従って当然にも事実調べを行えば寺尾「確定」判決、警察に因ってデッチあげられた「自白」の全てが崩壊し、警察・検察、裁判所が一体となって無実の部落民である私を犯人に仕立て上げたばかりか、一旦は「死地」に追い込み「抹殺」しようとした事実を全国民の前に明らかにさせねばなりません。その為には、皆様方のご協力は不可欠であり、声を大に訴えずにはいられません。

3月には静岡地裁で「袴田事件」の再審開始決定が出されました。検察の即時抗告によって、現在東京高裁で審理中でありますが、「証拠捏造の疑い」とまで言い切った地裁決定は覆ることはないと信じています。袴田事件は、600点の証拠開示がされ、そのことが再審開始への道を拓きました。狭山事件もこれ以上の証拠隠しは許されないことです。

「SAYAMA みえない手錠をはずすまで」も全国で上映され、大きな反響を呼んでいます。私にとって今が最大で最後のチャンスであるので、皆様方の可能な限りのお力添えを賜りますよう切にお願い申し上げます。

簡単ですが、支援のお願いと常日頃のご尽力に心深く感謝の意を表して私・石川一雄の挨拶と致します。有難うございました。


石川 一雄

不当逮捕51ヶ年糾弾・再審闘争勝利決起集会ご一同様

 

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