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部落問題資料室
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運動方針案を各級機関で論議し、大会でさらに深めていこう

「解放新聞」(2011.02.07-2505)

 はじめはハンガリーだった。やがて東ドイツの政権は崩壊。ベルリンの壁が市民によって打ち崩された。これが1989年のベルリンの壁崩壊に象徴される、ブルガリア、ポーランド、チェコスロバキア、ルーマニアへとつづく、いわゆる社会主義諸国の政権崩壊だった。そしてソビエト連邦共和国も、1991年に崩壊した。東西冷戦構造の終焉だった。人びとは、分断・対立の時代から協調の時代へ、平和と人権の世紀の実現へ大きな期待を寄せた。
  しかし、結果、アメリカ一国が突出し、みずからの考え方をスタンダードとして世界に押しつけるという体制がつくり出された。民族対立や宗教紛争とよばれるものも激化してきた。そして、人権と平和の世紀をめざす21世紀のとば口で、アメリカへの同時多発テロが勃発した。最大の人権侵害である、出口のない「テロとの戦争」が、いまも各国、各地で続けられている。
  世界を席巻しているのは、市場経済主義にもとづく新自由主義であり、グローバル化のなかでそれは世界的な規模での格差の拡大、差別や貧困の拡大・深化をもたらしている。
  こうした状況をどう把握し、部落解放運動としてなにをどう切り開いていくのか。
  2011年度一般運動方針案(第1次草案)は、基調方針のなかで、コンパクトに国内外情勢、部落のおかれている状況と差別の実態、今大会の意義と任務、11年度の重点課題をのべ、それぞれの課題別の闘いの方向も示している。

 基調方針の「大会の意義と任務」では、①「自己責任と自由競争」という市場原理主義にもとづく新自由主義のもとでの部落解放運動の任務②参議院選挙での敗北を乗り越える運動と組織の改革③綱簡改正を契機に反転攻勢する部落解放運動の推進、を掲げている。
  また、H年度の重点課題として、①組織・財政改革と地域からの生活に密着した闘い②「人権侵害救済法」制定③狭山第3次再審の実現④土地差別調査事件の糾弾⑤統一自治体選挙の勝利⑥反差別国際運動の国内・地域での具体化、の6点をあげている。
  とりわけ重要なのは、重点課題の①である。生活に密着した闘いとして、5つの運動部が重点課題の明確化をすすめるさいに、すべての課題を「仕事づくり」「雇用創出」につなげる視点から検討すること。そのために、しっかりとした議論を積み重ね、「社会的企業」「社会的起業」として健全な経営・運営をめざし、地域から「仕事・雇用」を創りだす、他者雇用でなく自己雇用の道を切り開くとりくみとして展開することである。先進事例を学ぶために、中央本部として「交流の場」も設定する。
  こうした方向性をもとに、さらに深化した闘いのためには、何がどう必要か、あるいは、なにをどうすべきか。各級機関で、大胆に、今後の部落解放運動のあり方や路線も含め、論議を積み重ねよう。それを第68回全国大会に持ち寄ろう。
  また、今年の全国大会では14年ぶりに綱領改正をおこなうことを決定し、「改正案」が示されている。さきの全国討論会での論議もふまえ、よりよい、豊富化された綱領の改正へ各級機関で検討をすすめよう。こうした作業を全国で積み重ねながら、「よき日」をめざすために、大会での活発な論議を期待したい。

 運動方針案、綱領改正案は、第4回中央委員会(2月4日、東京)で論議を重ね、3月3日の大会当日に代議員に冊子としてまとめ、配布され、大会での本格論議へ引き継がれる。
  綱領改正を契機に新たな部落解放運動の展開をおしすすめ、06年の一連の不祥事への再生改革運動の総仕上げをし、参議院選挙敗北を乗り越える運動と組織の建設へ反転攻勢を開始するための第68回全国大会を成功に導こう。そして、「排除・忌避・孤立を克服する社会連帯の実現へ向けて、人権・平和・環境を基軸にした部落解放運動を大きく前進させよう」。

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