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部落問題資料室
NEWS & 主張

手拭い配付のでっち上げ鮮明に
狭山弁護団が新証拠提出

「解放新聞」(2013.10.28-2640)

「1」本を「2」本と改竄
  1963年のⅠ米穀店の手拭い配付一覧表(5月5日付け捜査報告書に添付)で、石川一雄さんの姉婿宅の「石川仙吉」欄に「1」と表記されていたものが、上下に別の筆記具で書き加え「2」としていたことがわかった。これまでの裁判では、63年正月にⅠ米穀店が配付した165本のうちの1本の手拭いで、被害者は後ろ手に縛られ殺害され、その手拭いを石川さんが使ったとして犯人とされてきた。しかし、石川さん宅では、5月6日午後0時20分に訪れた捜査員にのし袋に入れた手拭い2本(63年と前年62年配付の手拭い)を示したことが、開示された捜査報告書に書かれている。

Ⅰ米穀店の配付メモを
  その後(5月11日)、手拭いは石川さん宅から警察に提出されている(つまり、石川さんは犯人ではない)にもかかわらず、石川さんを犯人視した警察は、どこから手拭いを入手したのかということを捜査の焦点にし、姉婿の石川仙吉宅か隣家のMS宅から調達し捜査官に示し回収させた、というストーリーを作りだした。こうしたなかで、石川仙吉宅には実際には1本しか配付されていないにもかかわらず、2本配付したように別の筆記具で「2」と改竄したことが明確になった。
  これまでの裁判では、遺体発見から2日後の、5月6日のTBSの昼のテレビニュース放送(ここではじめて犯行に使われた手拭いがⅠ米穀店のものであることが放映された)で手拭いのことを知り、あわてて石川仙吉宅か隣家のMS宅から手拭いを都合した、としてきた。

犯行に使われた手拭いは石川さんの家のものではない
  しかし、5月6日に石川さん宅を訪れた捜査員は、午前中には石川仙吉宅を訪れ、使用中の手拭い1本の存在(のちに警察に提出)を確認し、同日の捜査報告書には「同人方は、今年一本、昨年一本受取っている事になっている」と書かれている。
  そもそも石川仙吉宅に1本しかない手拭いをもらうことは不可能だ。あるいは隣家のMS宅は市内の茶園に働きに出ており、同居していた息子は都内の造園で働いていた。ここからテレビ放送後に、短時間で調達することは不可能だ。
  石川仙吉宅への2本配布は警察・検察のでっち上げであり、MS宅への配付も大きな疑問符がつく。そもそも、真犯人がすぐに足がつくような手拭いを犯行に使うことがありえるのか、と考える方が自然だろう。

ただちに再審開始を
  「いやしくも捜査官において所論のうち重要な証拠収集過程においてその一つについてでも、弁護人が主張するような作為ないし証拠の偽造が行われたことが確証されるならば、それだけでこの事件はきわめて疑わしくなってくる」としたのは確定(寺尾)判決である。裁判所はただちに再審開始決定をおこなうべきである。


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