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部落問題資料室
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格差と貧困の拡大に歯止めをかけ、就職差別撤廃と安定雇用の促進を

「解放新聞」(2014.06.02-2669)

 格差と貧困の拡大が止まらない。今年の「連合白書」では、非正規労働者は雇用労働者全体の38.2%、2043万人にのぼり、人数・割合ともに過去20年で最大となつでいる。正規労働者は減り、非正規労働者が増え続け、労働者10人に4人が非正規となろうとしている。この非正規労働者の賃金・労働条件は、不当にいちじるしく低く抑えられている実態があり、格差と貧困拡大の大きな要因となっている。
  民主党政権時代の2012年には、労働者派遣法や労働契約法が改正され、日雇い派遣の原則禁止や雇用形能による不合理な労働条件格差の是正など、格差是正に向けた一歩が踏み出された。しかし、その年末には安倍政権になり、労働法制の改悪の内容がつぎつぎと打ち出され、格差と貧困がさらに拡大する危険性がでてきた。
  安倍政権は、まず今国会で労働者派遣法の改悪をおこなおうとしており、人を入れ替えれば無期限に派遣労働者を使うことができるようにしようとしている。これまでは、派遣は「臨時的・一時的労働」で「基本は正規雇用、派遣は例外」とする原則が貫かれてきた。しかし改悪派遣法が成立すれば、この原則は無くなり、正規労働者の担ってきた多くの職種が派遣に置き換えられ、さらに不安定で低賃金の非正規労働者が増えることになる。
  そのほかにも安倍政権によって、解雇しやすい「限定正社員制度」、残業代ゼロの長時間労働を可能とする制度など、労働者の権利や生活を無視し、格差と貧困を拡大する労働法制改悪が検討されている。
  また、このような状況に加え、正規労働者であっても、いわゆる「ブラック企業」など労働者の人権とワークルールが無視された状態で働かされる労働者も増え、社会問題にもなっている。
  この十数年問、「規制緩和」の名のもとに、労働者の権利と人権を守る法律が改悪され、格差と貧困が拡大してきた。そしていま、年収200万円以下の労働者は1000万人をこえ、給与所得者の4人に1人となっている。
  このような雇用状況では、庶民の生活が破壊されるとともに、人材も育たず労働の質も低下する。そして社会保障制度の基盤も崩壊させ、社会の荒廃がすすむ。この格差と貧困の拡大に歯止めをかけるために、連合との連帯共闘を強め、安倍政権の労働法制改悪を阻止していこう。

 この状況のなかで、就職差別撤廃のとりくみもなし崩しにされかねない。応募や採用の仕組みも、新規大卒者などはインターネットをとおしたエントリーシートによる応募など、大きく変化し実態がつかみにくくなっている。
  そのうえ新規大卒者の場合、「統一応募用紙」の趣旨違反をチェックする体制が非常に弱い。大阪府内の大学をとおして「就職受験結果報告書」のとりくみがなされているのみである。このとりくみを全国化し、学生など求職者にたいする啓発にもとりくむ必要がある。
  また企業内公正採用選考人権啓発推進員の研修と企業内人権研修の充実もあらためて要求していく必要がある。
  労働組合との共働したとりくみも大切だ。部落解放中央共闘会議や部落解放地方共闘全国連絡会議は、6月を「就職差別撤廃月間」と位置づけ、独白にリーフレットをつくり各職場での啓発と点検のとりくみをよびかけている。また昨年は18府県の府県共闘会議で、労働局、都道府県行政や教育委員会、経営者団体への要請行動がとりくまれている。このとりくみも全国で強化していこう。
  厳しい雇用情勢のなか、自治体やハローワークと連携し、各地域で職業相談活動を充実させるとりくみも大切だ。しかし、求人倍率がこの数か月やっと1倍をこえたが、その求人の4割が非正規という現実がある。
  いまこそ労働法制の改悪を阻止し、格差と貧困の拡大に歯止めをかけ、就職差別撤廃と安定雇用促進のとりくみを強化しよう。

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