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部落問題資料室
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人権侵害救済制度の実現に向けて、第2次中央集会に結集してとりくみをすすめよう

「解放新聞」(2014.10.13-2686)

 部落解放・人権政策確立要求第2次中央集会を10月30日に東京・憲政記念館でひらく。5月の第1次中央集会は、安倍第2次政権が発足してからはじめてのとりくみで、集会での基調では、これまでのとりくみの総括と闘いの到達点、反省点をふまえ、あらためて人権侵害救済制度の早期確立に向けた闘いの再構築をよびかけた。
  第2次中央集会では、この間の土地差別調査事件などの差別事件へのとりくみやヘイトスピーチにたいする行動をふまえ、人権侵害救済制度の必要性を具体的に訴えていかなければならない。
  さらに、この間、安倍政権は、「特定秘密保護法」をまともな審議もせず強引に成立させた。また、集団的自衛権行使容認の閣議決定を、国会閉会中の7月1日に強行した。まさに「戦争をする国」づくりをめざし、憲法改悪を狙う安倍政権の危険な本質が明らかになった。人権と平和、民主主義の危機が深まるなかで、こうした課題のとりくみとも結びあわせて、部落解放・人権政策確立に向けたとりくみをすすめよう。

 安倍政権は、9月3日に改造内閣を発足させた。また、自民党役員も谷垣禎一・幹事長、二階俊博・総務会長などの新体制となった。改造内閣では、5人の女性閣僚を誕生させ、「女性が活躍できる社会」の実現をアピールした。しかし、今回の内閣改造は、これまで以上に新自由主義にもとづく経済優先のために市民生活に大きな負担や犠牲を強いる政策を実行するためのものだ。
  9月29日から開会した第187臨時国会での所信表明演説でも、安倍首相は、「地方創生」と「女性活躍」を打ち出した。しかし、閣議決定された「まち・ひと・しごと創生法案」では、「地方中枢拠点都市」構想をはじめ、周辺地域を切り捨て、あらたな地方荒廃を生み出す内容になっている。しかも、地方経済に深刻な影響が出るにもかかわらず、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉を推進しようとしている。
  「女性活躍推進法案」でも、企業などでの女性幹部登用をめざすものとしているのみで、その実効性も疑わしい内容だ。そもそも非正規雇用の拡大、長期労働時間をめざす「労働者派遣法」の改悪、認可保育所に入れない待機児童問題など、女性の社会進出を困難にしている政策をおしすすめているのが安倍政権である。


 国連人種差別撤廃委員会は、8月29日に日本政府報告書の審査について、総括所見を公表した。とくに悪質化するヘイトスピーチにたいしては、断固としてとりくむことや、人種主義の個人、団体を捜査し、適切な場合は起訴することなどを勧告した。また、インターネットなどメディアでのヘイトスピーチと闘うための適切な手段を講じることも明記された。
  いまやヘイトスピーチという差別言動が、国際的にも犯罪であることは明らかである。
  また、委員会は国内人権機関が設置されていないこと、「人権委員会設置法案」が廃案になった以降のとりくみがすすんでいないことも指摘している。まさに、人権侵害救済制度の確立に向けた国際的責務がはたされていないのだ。部落差別に関連して、委員会でも取りあげられた差別身元調査や、在日コリアンなどへのヘイトスピーチ、自民党の札幌市議が「アイヌ民族なんて、いまはもういない」とツイッターに書き込むなどのように、反人権主義による政治の劣化も反映して、今日の日本の人権状況は悪化するいっぽうである。
  部落解放・人権政策確立要求第2次中央集会に結集し、こうした差別の実態や、国内人権機関をめぐる国際的なとりくみ状況をふまえ、人権侵害救済制度の確立に向けた闘いを大きく前進させよう。


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