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コラム

荊冠旗 第2739号/15.11.16

 アントニオ猪木がプロレスラー出身の国会議員の嚆矢だった。その後、何人かのレスラーが続いた。馳浩もそのうちの1人で、レスラー時代、バックドロップの受け身をとり損ね九死に一生を得たことがあった
▼この馳が文科大臣になった。海外での初仕事のひとつがユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界記憶遺産制度の改善を求める行動だった。具体的には「南京大虐殺の記録」を世界記憶遺産に登録したことに、専門家の意見を聞くなどの登録過程の透明性が必要と主張した
▼だが、しかし、たとえば今年の日本での記憶遺産の審議をめぐり、その過程を公開するといっていたにもかかわらず、そうしなかったのはなぜか。国内では透明性を担保せず、ユネスコ本部にそれを求めるのは明らかに二重基準、ダブルスタンダード
▼ことの本質は「歴史認識」が異なる中国や韓国の「従軍慰安婦」などの登録をこれ以上は防ごうという狙い。この点でも、日本は旧ソビエトの「シベリア抑留」を申請している。これもダブルスタンダードではないか。自国の犠牲は登録し、侵略した他国の犠牲は世界記憶遺産に残さないという
▼日本がTPP妥結を急いだ背景には軍事面をふくめ、対中国包囲網を米とともに構築しようという意図があった
▼だが、米が求めるのは中国とのウィンウィンの関係。米は軍事面を含め突出しないように対日包囲網を引くのが狙い、という二重基準を知るべきだ。

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