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基地おしつけの差別政策と沖縄の民意を無視する辺野古への米軍新基地建設を許すな

「解放新聞」(2015.06.15-2719)

 いま、安倍政権は、集団的自衛権行使を可能とするための憲法違反の戦争法案を国会に上程する一方で、沖縄の辺野古新基地建設を強引におしすすめようとしている。
  沖縄県民は、2014年1月の名護市長選挙、9月の名護市議会議員選挙、11月の沖縄県知事選挙、12月の衆議院議員選挙と、辺野古新基地建設が争点になった選挙であいついで反対の民意を示した。にもかかわらず、安倍政権は「普天間飛行場の危険性除去のために、辺野古移設が唯一の解決策」とくり返し、沖縄県民の民意を尊重する姿勢をまったく見せていない。
  そして翁長沖縄県知事は就任後、政府に民意を伝えるために話し合いを申し入れたが、安倍首相や官房長官はかたくなに拒否し続け、今年4月の統一自治体選挙と日米首脳会談を前にしぶしぶ会談をおこなった。
  この安倍政権の倣慢な姿勢は、沖縄県民の民意を無視して、問答無用で辺野苗新基地建設を強行しようとするものであり、けっして許せるものではない。



 「戦後70年 止めよう辺野古新基地建設!沖縄県民大会」が5月17日にひらかれ3万5千人が参加した。この集会で、翁長知事は「安倍首相の言う〝日本を取り戻す″の中に沖縄は入っているのか。沖縄はこれまでみずから基地を提供したことはない。銃剣とブルドーザーで土地が奪われてきた。これをくり返すのか。政治の堕落だ。あらゆる知事の権限をもってして、辺野古に新基地は作らせない」と怒りをこめて力強く決意を表明した。
  辺野古では、新基地建設に反対する住民などにたいし、沖縄防衛局や海上保安庁などが一体となって、暴力的な弾圧をおこなっており、けが人も続出している。辺野古沖でのカヌーによる海上抗議行動にたいして、市民に襲いかかり首を絞めたり、海に沈めて海水を飲ませたり、カヌーを漕ぐパドルを奪ったうえではるか沖合にひいていき放置したり、命の危険をもともなう暴力的な排除行動をくり返している。ゲート前では、排除しようとする警備員との混乱からケガ人も出ている。正当な市民の平和的抗議行動にたいして、このような公権力の濫用と暴力行為をくり返すことは「銃剣とブルドーザー」そのものであり、けっして許されない。
  これら市民の人権をふみにじる姿勢をみても、「国民の命と安全を守る」とうそぶき、戦争法案づくりを強行する安倍政権のペテン性は明白だ。


 2013年1月、沖縄の全41市町村長と議会議長は、東京の日比谷野外音楽堂に結集し「MV―22オスプレイ」の普天間基地配備に反対の声をあげ、政府に「建白書」を突きつけた。しかし、そのような与野党の枠をこえた「オール沖縄」の声を無視し、日本政府は配備を了承、オスプレイは普天間基地に配備された。
  翁長知事は集会で、森本元防衛相の5年前の著書を紹介し、辺野古新基地はオスプレイ100機を配備する設計になっていると書かれており、これが現実化すれば基地は強化・固定化されることになると指摘した。
  オスプレイは、その構造から事故の多さが指摘されており、今年5月にもハワイで墜落した。日米合同委員会での「夜間飛行の禁止」「住宅密集地上空の飛行禁止」「米施設及び区域外での垂直離着陸モードでの飛行禁止」などの合意内容は、配備後すぐに無視され、傍若無人に運用されているのが現状である。最近、東京の横田基地へのオスプレイ配備計画、自衛隊への導入計画などが明らかになっており、沖縄をはじめ、オスプレイの飛行により、今後さらに全国で住民の命が危険にさらされていく。飛行停止と配備撤回を要求する闘いを強めていかなければならない。

 翁長知事は、就任後に「仲井眞前知事による辺野古埋め立て承認手続きの可否をめぐる第三者委員会」を立ち上げ、検討結果が出るまで海上作業の中断を沖縄防衛局に求めた。
  そして今年3月23日、翁長知事は防衛局にたいして移設関連作業の停止を命じ、従わない場合は埋め立てに必要な岩礁破砕許可を取り消すと発表した。これにたいして、管官房長官は「翁長知事の指示は違法性が重大かつ明白で無効だ」として、行政不服審査法などにもとづき指示の取り消しを求める審査請求をおこなうとし、対決姿勢を露わにした。
  「第三者委員会」の検証報告は、6月末に出される見込みである。しかし安倍政権は、6月末までに海底ボーリング調査を終え、7月から土砂搬入と埋め立ての本格工事を強行しようとしており、闘いは正念場をむかえている。
  米国の元国防次官補でハーバード大学のジョセフ・ナイ教授は、沖縄タイムズ紙上で「辺野古新基地建設は困難」とし、「沖縄への基地機能の集中は、軍事的には問題」と発言している。
  4月の日米首脳会談後の共同記者会見で、安倍首相は「辺野古移設が唯一の解決策」とのべた。しかしオバマ大統領は、沖縄海兵隊のグアム移転について言及したが、「辺野古」には言及していない。日本のマスコミは報道しないが、米国政府内の認識は「辺野古が唯一という一方的なものではないという。だから翁長知事は、安倍首相が伝えなかった沖縄の民意をオバマ大統領や米政府・米国市民に伝えるために訪米したのである。
  5月24日には、辺野古新基地建設反対の市民1万5千人が国会を包囲した。戦争法案成立阻止と辺野古新基地建設阻止の闘いは、ともに正念場をむかえている。安倍政権の「戦争ができる国」への暴走を止める闘いとして全力でとりくんでいこう。


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