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敗戦・被爆70年をふまえ、「戦争法案」成立阻止、反核・平和へ全国各地でとりくみを

「解放新聞」(2015.08.03-2725)

 今年は、敗戦・被爆から70年、「あらゆる国のあらゆる核実験に反対」を訴えて原水禁運動が再出発(原水爆禁止日本国民会議)してから50年をむかえる。この節目の年に、わたしたちはあらためて敗戦・被爆の歴史と実相を見つめ直し、今日の危機的政治状況をふまえ、反戦・反核のとりくみを強めなければならない。
  「ブレティン・オブ・アトミックサイエンティスト」が管理している終末時計の針は1月22日に2分早まり、福島原発事故後に5分前に動かされていらい3年ぶりに動いた。核軍縮が停滞しているなか、世界の終わりまであと3分というところまですすみ、ロシア、中東などの深刻な国際状況のなか、核廃絶へのとりくみは、たいへん困難な局面をむかえている。
  今年4月にひらかれたNPT再検討会議は、合意文書を採択できずに閉幕した。今会議では、核兵器の非人道性が中心的課題の一つとされ、「核兵器禁止条約制定に向けた議論を求めることを内容とする」誓約文書は、閉幕時に107か国の賛同をえた。しかし、着実に核兵器禁止への賛同が広がっているなか、核兵器保有国からは、これら非核保有国の声を切り捨てる発言があいついだ。また、日本は、被爆国として核保有国と非核保有国の間に立って、核兵器廃絶の役割をはたすべきだが、米国との軍事的同盟関係を強め、「核兵器禁止条約制定に向けた議論を求めることを内容とする」誓約文書にも賛同しなかったことは、断じて許されない。しかも日本が提案した「世界の指導者への広島・長崎訪問の呼びかけ」の記述をめぐって、中国・韓国から反発をうけた。これまでの歴史認識が問題となっているのは明白だ。日本は、核兵器廃絶への姿勢とともに、侵略戦争と植民地支配の歴史について明確な反省と謝罪の姿勢を示すことが求められている。


 原子力政策の根本的転換と脱原発に向けたとりくみは、ひじょうに厳しい状況だ。福島第1原発事故により避難生活を余儀なくされている人たちは、いまだ12万人をこえている。子どもたちの甲状腺の問題、労働者の被曝の増大、汚染水の漏えい、中間貯蔵施設の問題などが山積しているなか、いまだ事故の収束の見通しすら立っていない。現地住民は、長期にわたる避難生活を強いられ、生活や就労、健康、住民差別などの問題をかかえており、被災住民に寄り添ったとりくみが求められている。
  こういった被災者の健康不安や生活権の問題解決に向け、ヒロシマ・ナガサキの被爆者援護の経験をふまえながら、原水禁がとりくんだ「こども被災者支援法」などの具体的位置づけをもった制度を求めていく運動を展開する必要がある。
  安倍政権は、福島第1原発事故の収束すらめどがたたないなか、昨年4月に「エネルギー基本計画」を閣議決定した。内容は、原発の再稼働・再処理やもんじゅ開発をふくめた核燃料サイクルの推進、原発の輸出など原発推進政策に回帰したものだ。
  原子力規制委員会は、九州電力川内原発1,2号機、関西電力高浜原発3、4号機、四国電力伊方原発3号機について、「これで安全を保証したものではない」としながら再稼働を許可した。川内原発にいたっては、原子炉に核燃料を搬入する作業を終了しており、8月中旬には再稼働させる方針だ。こうした暴挙を許さず、あらゆる市民・団体と連携し、再稼働阻止に向けた運動にとりくもう。


 7月15日、衆院平和安全法制特別委員会で「集団的自衛権」行使にふみこむための「平和安全法制整備法案」と外国軍の戦闘を支援するための「国際平和支援法案」からなる戦争法案が、強行採決された。圧倒的な国民の反対の声があり、安倍首相みずから「まだ国民の理解がすすんでいる状況ではない」と答弁したにもかかわらず、自民・公明の与党が採決を強行した。日本を戦争にひきずりこみ、国民の生命と人権を脅かす戦争法を断じて許してはならない。
  今年8月は、ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下と敗戦70年をむかえる。わたしたちはいまこそ、先の戦争の反省を生かし、日本をふたたび「戦争をする国」にしない決意でとりくまなければならない。原爆と戦争は、筆舌に尽くしがたい惨劇を生んだ。被爆と戦争の実態を伝え、核廃絶と世界の恒久平和を訴えなければならない。
  幅広い共同闘争で、これ以上の核被害の拡大を許さず、差別と抑圧のなかにおかれている核被害者と支援・連帯を強め、反核・平和・人権・民主主義を確立していこう。そして、「核と戦争のない平和な21世紀を」求めて、すべての市民と連帯し、「戦争法」案を廃案に追いこもう。


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