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NEWS & 主張

第22回中央福祉学校
生活困窮者自立支援軸に
当事者中心主義こそ重要

「解放新聞」(2015.08.24-2727)

 昨年12月14日から延期された中央福祉学校。3つの学習を中心に2日間の概要と、山崎生活福祉運動部長の閉会あいさつ・まとめを紹介する。

 部落解放第22回中央福祉学校を8月1、2日、大阪・HRCビルでひらき、14府県連から91人が参加。「生活困窮者自立支援制度の活用に向けて」を中心に学習した。
  1日目は、開会あいさつを谷川生活福祉運動部副部長、地元歓迎あいさつを北口末廣・大阪府連委員長が、それぞれおこない、学習にはいった。
  学習①は「障害者権利条約に基づく わが国の障害者差別解消法」をテーマに、社会福祉法人・AIU自立の家(名古屋市)専務理事の山田昭義さんが講演。山田さんは15歳のときに頸椎損傷で四肢マヒの障害者となり、1968年から車イスの仲間とともに「愛知県重度障害者の生活をよくする会」を立ち上げるなど、障害者が参加できる福祉のまちづくりにとりくんできた。
  そうしたとりくみによって、「障害の社会モデル」(障害は社会の環境、偏見、制度、仕組みがつくるものという考え方)が国際的なルールとなり、障害者権利条約に反映されたことを強調するとともに、「わたしたち抜きで決めるな」という当事者主義を訴えた。
  また、障害者の経済的な自立をめざしてワインづくりにとりくむ小牧ワイナリーを、4月にスタートさせた。これまで多治見修道院のぶどう畑の世話をしてきた経緯もあって、小牧ワイナリーでは修道院でつくられた世界中のワインをとりあつかっており、今回の福祉学校で展示販売もおこなった。
  学習②では、「生活困窮者自立支援制度の活用に向けて」をテーマに、鳥取市中央人権福祉センター主幹の川口寿弘さんが講演。隣保館に相談窓口を設けた鳥取市のとりくみを、詳しく紹介した。参加者からは地元にもってかえり、とりくむ決意が表明された。
  2日目は、学習③として 「認知症の理解と支援のあり方」をテーマに、NPO法人・認知症の人とみんなのサポートセンター(大阪市)代表理事の沖田裕子さんが講演。このなかで「認知症の人の気持ち、感じていることを理解することが大事」と強調し、デイサービスの活用をよびかけた。
  最後に山崎生活福祉運動部長がまとめ・閉会あいさつをおこなった。

まとめ・閉会あいさつ
生活福祉運動部長  山崎鈴子
  生活福祉運動部では昨年10月、ブロック別交流会をもった。それに先立つアンケート「2014年 生活福祉運動部アンケート集約」を今回配布した。参考にしたり話を聞きたい例があれば、ぜひ交流を。
  関東からは同盟員の厳しい生活実態が報告された。雇用促進のためのハローワークとの連携や地域人権啓発リーダーの育成のほか、相談員の資質を高め、生活人権相談で1000件以上の実績を積みあげている。
  近畿・東海では、隣保館の指定管理者制度への移行にも積極的移行と経費節減だけの移行と2つの流れがあるなか、隣保館のモデル事業として生活困窮者自立支援や相談力を高めるなどのとりくみも報告された。
  中国・四国からは、まず情報の共有、隣保館の生活困窮者自立支援の拠点化、相談内容の多様化に対応する相談力の強化、隣保館での部落問題の欠落などが課題としてあがっている。
  九州では、支部で解放新聞配布時に高齢者の安否を確認するとりくみが報告された。私自身も週1回、解放新聞を配りながらのおしゃべりを大切にしている。
  いかしきれていないが、キーワードは「人権・福祉・平和」。戦争をさせない1000人委員会を中心とする運動に積極的にとりくみたい。秋までが勝負。
  これから15人に1人が認知症になるといわれるが、「私たちのことを私たち抜きで決めないで」「主体を抜きにしないで」が、3人の話と部落解放運動とに共通する精神だ。
  厚労省地域福祉課の資料にある隣保館などの耐震化、関係部局・機関との連携は、要求を示してもらえば、中央は全力でとりくむ。


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