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NEWS & 主張

町職員・町民だれ1人指摘せず
香川県議会議員選挙公報差別事件で

「解放新聞」(2015.11.16-2739)
第1回確認会
  【香川支局】香川県議会議員選挙公報差別事件(別項)の第1回事実確認会を8月11日、丸亀市・香川部落解放・人権啓発センターでひらき、県連執行部、各支部幹部が出席、行政からは香川県、琴平町、まんのう町が出席した。A元候補者は出席しなかった。
  確認会のなかで、県選挙管理委員会(以下、選管)を所管する県自治振興課が3月27日の立候補者事前審査で受け取った政見内容について、Aに連絡をとり内容に問題があると伝えたが、本人が内容に固執したため、県の選挙公報の発行に関する条例により、原文のまま掲載し選挙区内へ全戸配布となったこと。また選管では何ら協議せず、人権・同和政策課への報告もおこなっていなかったことがわかった。
  県人権・同和政策課は4月8日、県連から連絡を受け、選管へ確認をおこなった。公報の内容は部落差別を助長するものであると判断したが、選管以外へのとりくみはなかった。また、県職員、教職員からの指摘もなかった。
  琴平町は、4月8日に豊明支部から連絡をうけるまで、町民、町職員、教職員からの指摘もなかった。また、選挙期間中であったため、選挙終了までとりくみが遅れた。Aにたいしては、4月15日からアプローチを開始したが、聴き取りをかたくなに拒否された。
  4月23日には、まんのう町とともに豊明支部、県連と協議をおこない、町として法務局に人権侵害として報告したうえで、人権侵犯にあたるのかどうかの見解を求めた。所轄を通じて警察庁に問い合わせ、政見内容が事実無根であることを確認したうえで、選挙公報に関する啓発チラシを作成し、両町内の全戸に配布した。
  まんのう町は、琴平町とほぼ同様だが、町独自のとりくみで、啓発チラシの全戸配布と並行して、町内7か所でおこなった町政懇談会で町長はじめ幹部職員が出席し、今回の差別事件の報告と町の見解を伝え、啓発をおこなった。
  県連の岡本俊晃・書記長は、①1人の町会議員のほかには、だれも告発しなかったこと②行政として何ができるのか? 何をしなければならないのか? 限界点は? お互い整理して、次回、糾弾学習会をおこなうことを提起した。
  なお、Aについては引き続きアプローチを続けることを確認した。

県連は、万全の対策を求めて総務省に要請書を提出
  県連(川田博士・執行委員長)は10月29日、今回の事案(香川県議会議員の選挙における選挙公報の発行に関する条例の第3条2に明らかに違反)を教訓化するためにも、今後の選挙公報・政見放送などで二度と、このような事態が起きないよう、万全の対策を講じるようにと「選挙公報にかかわる要請書」を総務省あてに送付し、要請に関わる協議経過と対策内容などについての文書回答を求めた。
  県連は、「今回の事案は身元調査に拍車をかけると同時に、同和地区住民にたいする差別意識を助長させるもの以外のなにものでもない」と憤りをあらわにしている。

「暴力団員の六割が同和地区出身者」と
選挙公報差別事件の概要と県連の見解

【事件の概略】
  4月12日におこなわれた香川県議会議員選挙の仲多度郡第1区選挙区(琴平町・まんのう町)に立候補したA候補者(落選)が、選挙公報で「警察庁の発表では、暴力団員の六割が同和地区出身者です。この数字は明らかに、これまでの同和行政が間違っていたことを示しています」と事実無根のデマをあげ、部落差別を助長し、同和行政を批判する政見を主張した。
  この公報は、公職選挙法にもとづき選挙区内全戸の1万1050世帯に配布され、県連の豊明支部の告発で明らかになった。
【県連の見解】 この選挙公報差別事件にたいして県連は、5月9日にひらいた第62期第1回県連執行委員会で、問題点としては①「警察庁の発表では…」とあるが、警察庁は「暴力団員の六割が同和地区出身者」との公式発表はしていない②「暴力団員の六割が同和地区出身者」とあるが客観的事実の裏づけもされておらず、常識的に考えてその信憑性はまったくない③「これまでの同和行政が間違っていたことを示しています」は「暴力団員の六割が同和地区出身者」が事実か虚偽かにかかわらず、その原因のすべてを「同和行政」に求めるという論理的展開はあまりにも短絡的、とした。また差別性については①部落差別がいまだに根強く存在しているなか、選挙公報をとおしてのデマの流布は、差別意識を助長・拡散させ、かつ部落住民への忌避意識を増幅させ、結婚や就職のさいの「身元調査」行為を誘発させる②事実無根である「暴力団員の六割が同和地区出身者」だとして「これまでの同和行政が間違っていた」と選挙公報で政見し、有権者の一部にある部落や同和行政への批判票を取り込む狙いがあったとしか考えられず、きわめて悪質である、と確認した。


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